使えない上司・使えない部下

2020年4月9日

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 今回は、千葉県で居酒屋「焼き鳥、串揚げ、釜めし とりのごん助」を運営する有限会社ライト・ライズ(印西市)の寺本幸司社長(41)を取材した。同社は2005年に創業し、現在、正社員が21人、アルバイトは70人程。

 寺本社長は高校卒業後、都内のすし店で板前として働いた。27歳で独立し、生まれ育った印西市内にすし店を開業した。後に、駅前立地の居酒屋へと業態を転換し、現在、県内に7店舗を展開する。

 寺本社長にとって「使えない上司・部下」とは…。

(Sean_Kuma/gettyimages)

「快感情」が多いところに人は集まるものです

 「使える、使えない」といった言葉は、愚痴を言うような雰囲気の場で聞くことが時々あります。たとえば、会社の経営者たちが集まり、「うちに使えない社員がいる」といったように。私は、そのような話し合いにはほとんど参加しないし、好きな言葉でもないです。弊社では、聞きませんね。そのような言葉を使う経営者の会社はおそらく、売上や利益を最重要視する経営方針なのかもしれません。

 私も以前は、店舗を増やすことに重きを置いていた時代があります。売上を最重要視していたわけではありませんが、店を設けると、正社員やアルバイトの雇用が増えるし、活躍できる場にもなります。その人たちの成長にもなると思っていました。「出店がみんなのため」と考えていたのです。

 ところが、3店舗を設けた頃から、何か違うなと感じるようになりました。社員やアルバイトたちの私への挨拶が違うのです。まるで、アウェー感…(苦笑)。心から歓迎をしてくれる、というよりも、形式上の挨拶とも言えるのかもしれません。店に現れた私のことをよその会社の人に見ているような雰囲気の時もありました。それは、1店舗、2店舗では感じなかったものです。

 3店舗になると、創業期からの社員やアルバイトに、新たに採用した人たちが加わります。互いに意思疎通が難しいことも増えてきたからなのか、「あの人がこう言っていた」という悪口を聞くこともしばしばありました。

 調理を作る職人さんは高いレベルの技術をお持ちでしたが、店のあり方について、私との間に意見の違いが生じる場合も増えてきました。当時の私は、経営理念を職人さんをはじめ、社員やアルバイトに正確に伝えることが十分にはできていませんでした。みんなが「この人のためにがんばりたい」と思える経営者でなかったのです。他責にしていると、私が成長しないから、当時から自分のことをできるだけ顧みるようにしています。

 この頃から、どのようなリーダーであるのがいいのか、とよく考えてきました。私は、「俺についてこい」と強引にみんなを引っ張ることはしないようにしています。会社の成長のステージでは、強いリーダーシップが求められる場合もありますから、それを否定はしません。弊社でぐいぐいとみんなを引っ張るのは、社風や文化、社員やアルバイトの性格には合わないと思うのです。私自身が好きではありませんから…。経営者として社員たちを思い描いたように動かしたい心理はわからないでもないのですが、相手が嫌だと感じたら、思い通りにはならないでしょう。

 みんなが喜ばないことをしていると、最後は私の周りに人がいなくなります。ある意味で、会社を経営する者は社員やアルバイトが納得してくれる環境をつくるサービス業でもあるのだと思います。「楽しい」「おもしろい」「いいよね」といった思い、つまり、「快感情」が多いところに人は集まるものです。社員やアルバイトの定着率が低く、次々といなくなる会社はこの快感情が少ないのかもしれませんね。

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