2022年12月4日(日)

Wedge REPORT

2020年5月21日

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鵜飼秀徳 (うかい・ひでのり)

ジャーナリスト兼僧侶

新聞記者・雑誌編集者を経て独立。本誌コラム「時流仏流」を連載中。近著に『ビジネスに活かす教養としての仏教』(PHP研究所)。
 

 文科省は2018年度からの5カ年計画で単年度1805億円の地方財政措置を講じ、教育現場のICT化を進めてきた。情報教育に詳しい東北大学の堀田龍也教授は指摘する。

 「文科省は当初、20年までに1人1台のタブレット端末を整備することを目標としていたが、現状では5.4人に1台にとどまっている。地方交付税交付金は、配布目的は示されるものの、実際には教育委員会から予算要求がなければ、福祉や介護などに使われてしまうのが実態だ。教育委員会は、学習のインフラとしてのICT整備の重要性をあまり理解してこなかった」

 教育を「二の次」にしてきたツケが回ってきているのだ。

注目集まる「京都モデル」
自治体、テレビ、新聞が連携

 だが、コロナ禍をきっかけにして、新境地を見出そうとする自治体が少数ではあるが存在する。そのひとつが京都市である。京都市の市立学校が、一斉臨時休校を決めたのは4月10日。そこで、市教育委員会では速やかに動画配信による授業の検討に入り、全国でも類を見ない、地元の放送局と新聞社とがタッグを組んだ教育プロジェクトが動き出した。名付けて「京都・学びプロジェクト」。

市と地元の放送局、新聞社が連携した「京都・学びプロジェクト」 写真を拡大

 「教育委員会の指導主事が中心となって、『4月の単元をどうにかしなければならない』という話し合いがもたれました。休校が長期化すれば、学びの場を奪われた子どもたちや家族の不安は増大していきます。動画を撮るならば、できるだけ早い方がよい。早速、地元メディアにお声がけをさせていただきました」(京都市教育委員会)

 具体的には、KBS京都の放送枠を使って4月20日から30日までの平日、特別教育番組「がんばれ! 京都の子どもたち」を流すという試み。対象は、小学4年生から中学3年生である。平時における学校と同じような規律正しい生活を家庭でも送ってもらうため、放送時間帯は9時から午後4時までと定めた。音楽や美術、道徳といった副教科も取り入れている。

 放送後は、動画をYouTubeやホームページ上で順次配信する。同時に京都新聞は放送と連動した子ども新聞「ジュニアタイムズ」を3回発行し、計18万部を配布する。

 臨時休校開始から5日後の15日、最初の収録があった。先生役は、教育委員会に所属する指導主事だ。1単元を15分程度にまとめ、ダイジェストで解説する。1回30分の放送枠で2単元をこなす。それを30回分放送する。

 収録では編集なしで講義が収まるような内容の台本が作られ、リハーサルが繰り返された。一方通行の講義にならないように教師2人が画面に登場し、「かけあい」形式にするなどの工夫が凝らされている。

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