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2020年5月30日

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結城康博 (ゆうき・やすひろ)

淑徳大学総合福祉学部教授

淑徳大学総合福祉学部教授。政治学博士。社会福祉士・介護福祉士・ケアマネジャーの資格を持ち、地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所での勤務経験をもつ。専門は介護と医療を中心とした社会保障政策。著書に『介護職がいなくなる: ケアの現場で何が起きているのか』(岩波ブックレット)など多数。

衛生用品を配給制度に

在宅介護事業者の約6割が衛生用品を不足している

 新型コロナ禍では、サービス提供の必需品である「マスク」「消毒薬」などといった衛生用品が、各介護事業所では入手困難となり、大きな影響を及ぼした。既述の調査結果において「あなたの介護事業所で、1 ケ月前と比べて衛生用品(マスク、消毒液など)は足りていますか?」という問に対して、「足りていない」35%、「あまり足りていない」29%となっており、約6 割弱の回答者が「不足」しているといった認識であった。

 なお、「訪問介護事業所単位で、マスクや消毒液の調達など独自の入手方法で、ヘルパーさんに配布を行うところもあります」「衛生用品に関しては、国が一括で買い上げて管理するようにして欲しい」「使い捨てマスクや、アルコール消毒等早い段階で配布してほしい」といった回答が多く寄せられた。

 本来であれば、介護報酬といった事業収入から必要経費を工面して衛生用品を購入しサービスを提供するものである。しかし、感染拡大により「マスク」などは市場価格で高騰し、小規模事業所が多い在宅介護部門では、政府からの支給を強く要望するしかすべがなかったが、充分な物資が届かなかった。第2次補正予算でその部分の予算措置も一定程度なされており、そうした物資の足りない事業者に届くことを期待したい。

「公共財」という意識の強化を

 今回の新型コロナ問題は「市場経済」の「もろさ」を露呈させたといっても過言ではない。飲食店や小売業者といった「私的財」とも言えるサービス部門へ「休業補償」「家賃補助」という形で公的資金が投入されることは、「市場経済」の限界を社会が認識したことにもなる。まして医療・介護といった「人」の命に関わるサービスは、常時、「公共財」としての認識が必要であり、第2波・第3波に備えての財源措置を継続して講じていくべきである。

 ワクチンや特効薬が開発され、真の意味での「収束」はまだまだ先であることは誰もが承知している。一時の小康状態であるこの時期に、この数ヶ月間の教訓を活かして重層化した介護施策を図るべきである。

  
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