2024年11月25日(月)

中年留学日記

2012年6月19日

 昨年からは東日本大震災に関するあらゆる記録を電子データとして残そうとハーバードの「デジタルアーカイブ」プロジェクトの中心となって活動しており、日米を頻繁に往復して、被災地にも何度も足を運ぶなど積極的な活動を続けられている。様々な情報を集約し、その中から教訓を学び、今後の震災対策につなげてゆくという願いが込められている。

 ゴードン教授は日本の最近の動きについて「被災地のがれき処理や消費税の問題などいろんなことが停滞してしまっている印象がある」と語っており、政治の決断を含めたスピード感のある動きが必要だと主張される。また「最近は大阪の橋下徹市長をめぐるさまざまな動きや現象に非常に関心がある」と話しており、こうした動きをこれから出版する著作などにも反映させたいそうだ。

そうそうたるメンバーがゲスト
ファー教授のセミナー

日米関係のセミナーで挨拶するスーザン・ファー教授

  同じく日本研究で有名なのはスーザン・ファー教授だ。ファー教授は学部生や大学院生を指導することに加えてハーバードの「日米関係プログラム」のディレクター(総責任者)を長年担当しており、毎週、時宜に応じて魅力的なゲストを招いたセミナーを行っている。

 この一年間は東日本大震災関連や北朝鮮問題、世界経済などの分野の第一線で活躍するゲストを呼んでセミナーを行った。たとえば日本からは東日本大震災の政府や東京電力の動きを独自に調査し、「民間事故調査会」として報告書を出した日本再建イニシアティブ理事長の船橋洋一氏、米国からは朝鮮半島エネルギー開発機構の元事務総長で現タフツ大学フレッチャースクール学長のスティーブン・ボズワース氏などそうそうたるメンバーだ。

 日米や世界の動向を注視してもっともふさわしいゲストを呼んでくるファー教授の力に敬服するとともに、セミナーで展開される議論を非常に興味深く聞き入った。ファー教授は自身も積極的にゲストに質問して議論を活性化し、若い学生や研究者の積極的な参加を歓迎するなど、日米をつなぐ人材の育成に尽力されている。ファー教授がハーバードの学生や研究者たちに常々言っているのは「リーチアウト」の重要性だ。「自分の行動範囲を積極的に広げて、いろいろな関係を結んでほしい」という含意だが、これはそのまま教授の日本や日本社会への期待にもつながっている。


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