ハーバードには日本語を勉強している人たちが多くいる。日本語学習に対する彼らの熱心な姿勢には、米国で英語を学ぶ筆者も感心する。毎月1回、ハーバードで日本語を勉強したり、日本関連の研究をしている研究者と日本語で会話し昼食をともにする機会があるが、ここに集う人たちは実に多様だ。
東アジアの国際関係や雇用機会均等法など硬いテーマを研究している韓国人がいる一方、日本の落語を研究テーマに博士号取得を目指して実際に落語家に弟子入りして高座に上がったトルコ人などもいる。学習期間によってレベルに差はあるが、みな必死で日本語を話している様子がわかるため、こちらも正しい日本語を話さないといけないなという気持ちになる。
ブームは去るも、一定数いる日本語学習者
ハーバードでは5年間の日本語の学習課程を用意しているが、現在、約140人が登録をしている。大学のデータによると、近年の日本語の学習者は2010年度までは右肩上がりで増加していたが、11年度は前年度に比べ2割程度減少したという。背景には世界的な中国語の学習ブームや東日本大震災が影響しているものとみられる。
ハーバード関係者によると、日本語の学習熱には過去いくつか波があったそうだ。バブル経済華やかなりし頃は、日本語学習がビジネスに直結するという期待から学習者が急激に増えたが、バブルがはじけるとともに減少。1997年に香港が中国に返還される少し前あたりから逆に中国語の人気が出てきたという。
そうした状況変化があったにもかかわらず、日本語が一定数の学習者を保っている理由について、担当教授の一人は「日本はアジアの重要な国であるという意識がハーバードの学生の間ではいまだ根強いからだ」と説明する。中国や韓国、台湾出身の留学生、あるいはそうした国・地域出身の親や家族を持つアジア系アメリカ人学生が、自らのアイデンティティを確認するために日本語を学ぶケースなども多いという。
若い学生の日本語への興味の入り口はアニメや漫画というケースも多いが、その後は自分の目的意識に照らして勉強する学生が大半だそうだ。特に中国文学などを研究する学生は、日本人学者が書いた論文などの読み込みが必須のため、日本語を最低3年間、学ぶことが求められているのもハーバードの特徴だ。
MITでは日本のポップカルチャーの授業も
では最近の若者は現代の日本をどのように見ているのか。先日、この夏に日本でのインターンシップを予定しているマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生や大学院生と話す機会があり、彼らの持つ日本のイメージを聞いてみた。