2024年11月25日(月)

中年留学日記

2012年6月19日

日米の緊密な関係の重要性を説く
ジョセフ・ナイ教授

ハーバード大学で行われた日米関係のイベントで講演するジョセフ・ナイ教授

 最後は「ソフトパワー論」で有名なケネディースクールのジョセフ・ナイ教授だ。アメリカ政治学会の重鎮であり、オバマ政権発足時には駐日大使の候補として名前のあがったほどの知日派だ。中国の台頭の中でも日米の緊密な関係が大切であることを繰り返し強調され、日本の東アジア地域での存在の重要性を説く。

 毎年、数度にわたって訪日し、与野党の政治家やビジネスリーダーなどとも交流を続けている。ナイ教授の授業はハーバードでも人気が非常に高く、世界各地の外交官や政治家の卵がこぞって受講していたのが印象的だった。日本に対しては「中国との良好な関係作りなど課題は多いが、日本の将来については楽観している」、「震災後に見られた日本の人々の秩序だった行動と連帯は日本の優れたソフトパワーだ」と述べ、日本への変わらぬ期待を寄せている。

 こうした知日家教授たちに共通しているのは、日本の社会や日本人の持つ優れた能力を発揮し、国内ではスピード感を持った政策やビジネス面での決断と実行を求めている。同時に、国際的にはアジアを足場にしっかりとしたリーダーシップをとって欲しいという期待だ。近年の中国の台頭で「ジャパン・パッシング」という見方が喧伝されがちだが、冷静に日本を見る親日家、知日家が多く存在していることはうれしいことだ。こうしたハーバードの知日家の先生方には今後も日本の行方をしっかり注目していただきたいと思うとともに、彼らに続く若い世代でも日本に関心を持つ大学関係者が増えることを期待したい。

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