世界の記述

2019年11月28日

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 スペイン最高裁は10月14日、2017年10月に同国北東部カタルーニャ自治州の独立を問う住民投票を強行した政治家ら9人に対し、反乱罪などで懲役9~13年の有罪判決を下した。

 これを受けて同日、州都バルセロナの独立派市民約8000人が空港周辺を占拠し、警察と衝突。負傷者は70人を超え、欠航便も相次いだ。

 その後、日中は抗議活動や100万人規模のデモが連日、平和的に行われてきたが、夜になると過激派市民が暴徒化。警察に火炎瓶や石を投げたり、大型のゴミコンテナを燃やしたりするなど、町全体が炎に包まれた。地元メディアによると、負傷者は約700人、逮捕者は約200人に上った。

バルセロナで行われたカタルーニャ自治州の独立を訴えるデモ
(GUY SMALLMAN/GETTYIMAGES)

 カタルーニャ自治州の独立運動が以前にも増して激化している原因は、スペイン全体を統治する、独立を認めない中央政府との関係悪化だ。

 10年にスペイン最高裁がカタルーニャ自治州憲章を違法と判断したことを機に、次第に独立機運が高まった。年々、独立を求めるデモの数は増加し、自治州全体で180万人を超えることもあった。

 14年にアルトゥル・マス元カタルーニャ自治州首相が試験的に行った住民投票では、独立派が8割を占めた。17年には、カルラス・プッチデモン前州首相が、中央政府の反対を押し切って住民投票を強行し「一方的独立宣言」を発表。中央政府はこれを国家反逆罪と見なし、前州副首相や閣僚らを次々と逮捕した。

 今年2月に独立裁判が始まると、ベルギーに逃亡したプッチデモン前州首相は、自治権停止措置を強要したスペインを「独裁国家」と非難。カタルーニャ自治州民も政治犯の釈放を2年間にわたって訴えてきたが、実らなかった。

 カタルーニャ政府は、独立問題を巡り、中央政府との「対話」を求めている。しかし、ペドロ・サンチェス首相は「まずはカタルーニャの中で対話すべき」との考えを崩さない。

 カタルーニャ政府の意見調査機関(CEO)が行った7月の調査によると、「独立賛成」と答えたカタルーニャ市民は44%で、「独立反対」と答えた48・3%を下回っていることが分かった。

 10月27日には、スペイン国旗を掲げた約8万人の独立反対派の市民が、バルセロナ市内で「プロセス(独立運動)はうんざり」と訴えた。国の分断を助長する運動に対抗する動きも増えている。

 11月に入り、いったん暴動は鎮静化した。だが、中央政府がこのままカタルーニャ政府との「対話」を拒み続ければ、今後も独立を巡る暴動は繰り返されるだろう。

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