2024年12月8日(日)

中年留学日記

2012年6月19日

 ハーバードでは日本への関心が今もしっかりと維持されている。ハーバードには様々な研究や政策提言などで日本に深く関わっている先生方が多く、日米に強い影響を与えているからだ。「知日派」の先生方はたくさんおられたが、在学中のこの一年、以下の4人の方々にはいろいろな機会を通じて大変お世話になった。

日本の内向き志向を心配する
ボーゲル教授

 まずはエズラ・ボーゲル教授だ。言わずといれた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(1979年)の著者だが、80歳を超えられた今でも元気にハーバードのキャンパスを歩き回っている。ボーゲル教授は日本と緊密な連携を持ちつつ、アジアの中で日本をとらえようと中国や韓国にも強い関心を長年向けてきた。昨年は10年以上の時間をかけて完成させた大著「鄧小平」を出版し、世界的に話題になった。オリジナルは英語だが、日本語を含めて各国語に翻訳される予定で、ボーゲル教授はブック・フェアなどで世界各地を飛び回っている。

 ボーゲル教授はハーバードやMITなどに学んでいる若い日本の留学生から最新の情報を吸収したいと、月一回、私的勉強会である「ボーゲル塾」を開いている。まさにハーバードの「松下村塾」という感じだ。全部は出られなかったが私も勉強会に参加して若い学生さんたちのエネルギーを感じることができた。ボーゲル教授は最近の日本の内向き志向を心配されており、「世界に積極的に出て、日本のことをもっと発信してほしい」と若い人たちに期待をかけている。

震災を教訓として電子化して残す

 ハーバードの日本研究として有名な拠点は「ライシャワー日本研究所」だが、所長のアンドリュー・ゴードン教授も日本の専門家だ。徳川時代から日本の歴史をとらえなおした「日本の200年」(2006年)は外国人研究者が書いたとは思えないほど細かくかつ正確に日本の歴史をつづっており驚かされる。ゴードン教授は日本の労働市場や労働環境にも大きな関心を寄せていて、情報のアップデータも常に行なっている。


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