Washington Files

2020年7月13日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

悪化する感染者数

 ところが、ここにきて、肝心のコロナ禍は改善に向かうどころか、逆に悪化しつつある。10日現在、報告されたところによると、直近1日だけの全米感染者数は6万7000人と過去最多となり、7月に入って以来の1週間の死者数は4200人に達した。累計で死者13万1000人、感染者数は310万人となり、公衆衛生専門家たちの間では、「年内終息」どころか、事態は今後さらに悪化するとの見方がほとんどだ。このままではだれが見ても、「V字」ははるか先の“絵に描いた餅”となりつつある。

 そこで最近では、「V字」に代わり、「W字」型回復シナリオが有力視されつつある。つまり、急激に悪化した景気がいったん上昇に向かい始めたものの、再び下降線をたどり始めており、本格的回復に向かうのは来年以降になるという予想だ。

 6日付のデジタル・メディア「Axios」は、有力投資・金融会社Jefferies Groupによる最新経済情勢分析結果として、:

  1. (景気回復の)モメンタムの喪失が、レストラン予約、交通渋滞状況、失業保険申請関連のウェブ使用量、中小企業の営業内容など、広範囲に及んでいる。
  2. コロナ感染が深刻化しつつある地域データはとくに弱点をさらけ出しており、景気は「V字」型回復から「W字」型に変質しつつある。
  3. コロナ感染拡大のタイムラグの関係から、6月の景気指標はその影響を免れたとしても、7月データは明確な下降線を示すことになる―などと報じた。

 もし、この「W字」予測モデル通りだとすれば、景気は今年前半に急降下した後、6月初旬から中旬にかけていったん回復の兆しを見せたものの、現在、再び悪化し始めており、本格的なリバウンドが始まるのは年末か年明けごろからということになる。

 このほか、マサチューセッツ工科大学(MIT)などのグループは最新の研究成果として、「最も可能性の高いシナリオは、今の景気後退がしばらく続き、恐らく、2年程度のブランクをおいて回復に向かう『U字』となるだろう」と予測している。

 いずれにしても、もはやこの時点で、「V字」回復を信じる専門家はごく少数となりつつあることは確かだ。

 となると、トランプ氏の再選可能性は……?

  
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