2024年6月15日(土)

使えない上司・使えない部下

2020年8月4日

コーヒーをおごっているか否か

奥山由実子さん

 「最近は成果主義で…管理職のポストが減り…」といった言い分もわからないでもないのですが、会社員(正社員)を選んだ以上、それは耐えないといけないでしょう。アメリカに比べると、はるかに雇用は守られています。現在のコロナウィルス感染拡大期においても、小さな会社の創業経営者、自営業やフリーランス、非正規社員よりはずっと安定した収入を得ているのですから…。様々な言い訳をして部下の育成をしないならば、「会社を早く辞めましょう」と言いたい。上司である以上、部下を育てるのは義務なのです。

 ある意味で、日本の中小から大企業まで管理職は甘えています。部下が、なかなか辞めない。他部署への異動願いも積極的には出さない。パワハラと言いながらも、法的に訴えることはほとんどしない。いったん管理職になると、降格はまずない。つまり、上司と部下の入れ替わりが滅多にない。部下が戦力にならなくて、責任を強く問われることもまずないし、解雇にもならない。

 私も経営者として言いたくなる場合がありますが、それを口にしたらこちらの負け。むしろ、「うちの社員は優秀よ」と社内外で言い続けます。実際、その通りになるケースは多々あります。会社員である管理職は、部下を自分の責任で雇い、給料を支払っていないから、小さな会社の経営者のような責任感を持つのは難しいのかもしれませんが、部下を育て上げるしかないのです。

 講演や研修でもよく話すことですが、部下や会社のことをさほど考えない人は、深い経験や知識、高度なスキルを持っていたとしても、人の上に立つのは避けたほうがいいと思います。多くの人から認められ、人間的にすばらしいと思われる人がリーダーになるべきです。経験やスキルは後から教育訓練でなんとかなりますが、人間的なものはどうすることもできません。これからは、経験やスキルに加え、人格がすばらしいならば、女性にも活躍の機会が増えていきます。

 話がやや広がりますが、後輩にコーヒー1杯くらいおごる心を持っていない人は、リーダーには不向きだと思います。毎回はともかく、時には後輩の労をねぎらう意味でもおごってほしい。私は、リーダーを選ぶ時にコーヒーをふだんからおごっているか否かを1つの判断基準にしています。部下をなんとか育て上げて、チームを作ろうとする意志を感じるからです。実際、チームビルディングができる管理職は部下に食事はともかく、コーヒー1杯はおごるし、部下も時々、返しています。こういう女性の幹部は確実に増えているのになぜ、足を引っ張るのか、わかりません。女性をフェアに扱う男性もいますが、私が知る限り、多くはない。男の嫉妬は怖いですね。

 こんな企業社会で、管理職や役員をしている女性はすばらしい。男性よりも圧倒的なハンディを抱えていながら、がんばっているのですから…。そのような女性は、ご自身にご褒美を与えてあげてください。近いうちに、管理職のあり方が変わりますから、今が苦しくともぜひ続けてほしい。応援しています。

カルチャリア

  
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