使えない上司・使えない部下

2020年7月28日

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 今回は、合同会社さかづき(足立区)代表の金山尚子さんを取材した。同社は、クラフトビールの醸造所を併設したビアレストラン「さかづき Brewing」を運営している。

 「さかづき Brewing」は北千住駅東口徒歩3分にあり、地域の人々や会社員に愛されている。ビールは常時6~7種類前後で、定番の「風月ペールエール」や「月の杯ヴァイツェン」が特に人気がある。現在までに、約300種類を作ってきた。金山さんの特にお勧めはその時々の旬の果物をふんだんに使い、アレンジを加えたフルーツエールなど。料理も人気があり、最近特に注文が多いのは、旬の素材を使ったシェフの創作料理だ。

 金山さんは大学院で微生物学を専攻した後、大手飲料メーカーに約9年間在籍した。前半の4年を製造現場で、後半の5年は研究に関わる。アメリカへの短期留学を認められるなど人事の処遇には恵まれた身で、自らの扱いに不満はなかったという。それでも、起業のために2015年に退職。大手金融機関から資金を借りるなどして、2016年3月に「さかづき Brewing」をオープンした。2020年8月には、2店舗目の開店を予定している。現在、正社員は3人(うち2人は試用期間中)、アルバイト・パートは4人。

 金山さんにとって「使えない上司・使えない部下」とは…。

ビアレストラン「さかづき Brewing」

給料や生活の安定は、私の人生の優先順位ではぐっと低い

 「使える、使えない」といった言葉を聞いたことは会社員の頃、同僚とお酒を飲む場でありました。職場などオフィシャルなところでは、聞いたことはありません。言葉にネガティブな意味合いがあるように感じるので、経営する立場になってからは使わないようにしています。

 会社員の頃? はっきり言って、使えない部下だったと思います。たとえば、上司から指示を受けた時、すぐに理解ができなかったり、納得できないと質問をしたりして食い下がるタイプでした。そこで「はい、わかりました」と取り組むことがすぐにはできなかったのです。スマートなタイプではなかったのでしょうね。腑に落ちないと口ごたえをしたり、「ここがおかしいと思います」と書いた、長いメールを送っていました。こういう部下は厄介ですよね…(苦笑)。きっと、不器用だったのだろうと思います。

 エリートコースにいた? 今、振り返るとそのような捉え方ができうるのかもしれませんが、退職時は清々した気分になりました。辞めようと思い、決断するまで約1年かかりましたが…。周囲の社員、家族は驚いているようでした。その会社で起業したのは、私の知る限りほかにいないようですから。生まれ持っての性格なのでしょうね。給料や生活の安定は、私の人生の優先順位ではぐっと、ぐっと低い。むしろ、自分の思うとおりに生きるのが、ずっと高いのです。

 退職前に、ビジネススクールに通うなどして経営の勉強をしたことはありません。飲食店経営に関する本を1冊買いましたが、1章を読んだくらい…(笑)。現在に至るまでの経営は当初の想像以上に順調で、自己採点をすると120点にはなります。この業界では珍しく、週休2日にしていますが、私自身は休日関係なく何かしら仕事をしています。

 部下を持つと、かつての上司の大変さがわかりました。私みたいな部下を扱うのは、本当に大変だったのだろうと思います。上司は会社の命を受け、自らの部署で売れる商品を作る。それで、部下に指示をする。部下はスムーズに従い、動く。これが、ベストシナリオ。これを理解し、上司の指示を受けた時に「よし、来た」と思い、取り組む部下は使える人だと思います。

 部下を持つと、それぞれの人の判断基準やバックボーンがすべて違うことがよくわかります。その差は、歴然としています。たとえば、私が「これは赤色」と言っても、ある人には青色に見えるのかもしれません。それでも、赤色に思ってもらわないと、経営する側として困る場合があります。これは、難しいものです。

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