使えない上司・使えない部下

2020年7月28日

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雇った人は全員が、かわいいですよ

金山尚子さん

 創業して日が浅い頃の一時期、ベテランの料理人さんを雇っていました。長いキャリアで自らの考えをお持ちの方でした。私としてはお店をこうしたい、調理人さんにはこうしてほしいといった思いがあったのですが、それが強すぎた面がありました。考えの違いを双方が乗り越えることはできなかったのかもしれません。その方は9か月程後にお辞めになりました。

 今の調理人さんは、私の考えや思いに全力で応えてくれます。「わかりました。やりましょう」と言ってくれるのです。彼は時には、反対することもあります。私の考えが間違っているならば、彼の意見を受け入れます。私は頑固ですから、考えを簡単には変えない場合もあります。2人の間では「お客さんのためになる」といった思いが共有できているから、双方で建設的な話し合いができるのです。

 経営する立場として人を採用し、育成することの大変さを「苦労半分、おもしろさ半分」と受け止めるようにしてきました。最近、エントリー者が増えていますが、採用はある要素を持った人に絞っているのです。1つが、ホスピタリティ。2つめが、協調性。3つめが、仕事に対し、謙虚や誠実であること。これら3つを兼ね備えていると、人材として伸びていきます。

 雇った人は全員が、かわいいですよ。私の言いなりになるという意味ではなく、こちらが強めに指摘しても、涙目でついてくるようなタイプです。かわいい人は、必ずどこかで一気に伸びます。そんなアルバイトやパートの方を何人も見てきました。この人たちと比べると、私はかわいくない部下だったのだと思います。

 使える人材? その言葉は使わないようにしていますが、あえて言えば、正直な人。たとえば、指示を受けたら、とりあえずはそれをできうる限りしてみるタイプです。使えない人は、損得で考える人。たとえば、自分の判断基準で判断し、「これで十分」と力を出し惜しみしてしまう。それ以上にがんばるのを止めてしまう場合もあります。「仕事が中途半端になっている」と指摘すると、「自分はがんばっています」と反論する場合もあるのです。

 社員、アルバイト、パートの皆さんと同じ方向やゴールを目指すことができないと、苦しみを感じることがありますね。孤独を感じる時もありました。立場上、みんなと友達になることはできません。仕事の時、自分の言葉の影響力は強いみたいですから、緊張感を常に持って接するようにしています。

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