2024年4月26日(金)

地域が主役の「在宅ケア時代」

2012年7月10日

 それから20年、在宅での訪問看護の現場で、多くの癌患者さんとご家族に出会ってきましたが、その多くが、「もっと早く在宅という道を知りたかった」とか、「こういったサービスが受けられるのであれば、もっと気軽に相談できたのに」という声でした。残された時間の少なさもあって、非常に残念な思いが募ることも多々あります。

すべてが寄付で成り立つ
英国・マギーズセンター

 通院している段階でも、在宅のサービス=訪問看護に繋がったり、身近に相談先が存在するためにも、「マギーズセンターが日本にもほしいものだ」と、心底思いました。2009年3月には、思い切ってマギーズセンター第1号がある英国スコットランドのエジンバラへ視察の旅に仲間と出かけたのです。

エジンバラのマギーズセンターは、ウェスタン総合病院の敷地内にある

 建築概要は280㎡、大きなNHS(ナショナルヘルスサービス=地域の基幹病院、多くは2000床近くを有する医療機関)のすぐ横に建ち、それでも、同一の建物ではなく独立しています。

 建物の中は、自然の素材を用い、できるだけ自然光が入り、庭が見え、家庭の雰囲気があるリラックスできる空間です。そこには、いつでも相談に乗れるように専門の看護師が常駐し、臨床心理士も時に加わり、ボランティアも活躍している。運営はさすがイギリス、すべてが寄付で賄われるので、相談料は無料、予約の必要もなし。そのために、ファンドレーターと呼ばれる人がいます。その人たちが資金調達のためのプログラムを組み、広報し、多くの支持者を得られるように地域に働きかけていく仕組みを考え広めているのです。

 「すべてが寄付で」と聞いた時にまずはため息、「癌の専門病院のすぐ横に」と聞いた段階でまた溜息!ではありました。しかし、何とか「マギーズセンターを日本にも」と行動を起こすことにしました。

センター発案者の講演を日本で

 それには、この内容を多くの方に知ってもらわなくてはなりません。

庭も見え、リラックスできる空間

 そこで、マギーズセンターのCEOであるローラ・リーさんを日本に招いて、多くの心ある人に直接話を聞いてもらいたいと思ったのです。ローラさんはマギーズセンターの発案者であり、乳癌患者であって、当事者であるマギー・ケズウイック・ジェンクスさんの担当看護師であり癌専門看護師でもある方です。彼女の招聘費用は、丁度、平成21年度社会貢献者表彰をいただき、その副賞を充てることができました。


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