2024年11月28日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月9日

 しかし、今回は詳しい説明がありません。その言わんとするところを忖度すれば、中国の方から対決姿勢に出てきたのだから、米国がこれに対応するチャンスだとも読めるし、あるいは、逆に、中国がシャングリラにも出られないような国内状況ならば、アメリカがアジアに進出するチャンスだと論じているのかもしれません。いずれにしても、外交安全保障問題については、中国に対して、毅然たる姿勢を取るべきだという論説です。

 特に関心があるのは、中国が「シャングリラ対話」への出席者の格下げをした国内的事情です。軍事委員会の再編、軍全体の人事の交替の時期にあたって、誰もリスクを取りたがらなかった、という内部事情が一番大きかったのではないかと推測します。もし、そうならば、このような、中国におけるトップの人事が流動的であり、ひいては政策不在の時期であるからこそ、米国にとってチャンスであるという、チェンの判断もまた正しいことになりましょう。


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