From LA

2020年8月8日

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穴だらけの条例

 このような極端な例もあるが、もっと小規模なホームパーティは日々行われており、取締の基準もないため政府は頭を痛めているのが現状だ。近隣から通報があってもどのように「同一世帯の家族での集まり」ではないのかを証明させることは難しい。特に全米に広がった黒人差別への抗議デモの後、警察への反感が根強く広がっていることから、警察としても強行手段には出られないのが現状だ。

 そこでロサンゼルスのガルセッティ市長が到達したのが「条例に違反してホームパーティを行う家庭の電気、ガス、水道などを強制的に止める」という手段である。8月7日から実行に移され、パーティを開催した主催者、家主双方に適用される。市長は「人々の命を守るためのやむを得ない手段だ」と説明した。

 ただし反対意見も多い。ライフラインを止めることは憲法違反である、という意見が最大のもの。米国らしいが個人の権利に政府がどこまで立ち入ることが出来るのか、という問題だ。司法の側がどのようにパーティを検知し、それを違法であると判断して電気などを止めるのか、という手法も問われることになる。

 しかもこの新しい条例、結構穴だらけでもある。パーティが開催された時点から48時間の猶予が与えられる、というのだ。パーティの最中に突然電気などが差し止められることで起きる混乱を避けるためだが、48時間後にはパーティはすでに終了している。何のための差し止めなのか、意味をなさないという指摘もある。つまりはパーティを開いた事実に対する懲罰なのだが、差し止めがどれくらいの期間続くのかも現時点では分かっておらず、ホームパーティの存続を止めるウルトラCにはならないかもしれない。

 それでもこうした条例を出さなければならないほどにロサンゼルスの状況が逼迫しているのは確かで、これ以上の感染者の広がりが出れば二度目のロックダウンも確実に視野に入ってきている。

  
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