オトナの教養 週末の一冊

2020年9月5日

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言論と行動との矛盾はもう許されないかもしれない国安法

 逃亡犯条例改正案がなくなったと思ったら中国政府は香港国家安全維持法を制定した。2003年の基本法23条に基づく国家安全条例からの推移を考えると「倍返し」をくらってしまった。「最近は、現在は国安法そのものより、香港人あるいは香港の過去と将来にとって、その法律が何を象徴することになるのか? 何の契機になったりするのか?…ということを考えています。国安法の施行と国際社会の反応をきっかけに、政治的立場を問わず、社会的運動や政治的言動の代価が高くなってきました。

 香港人が昔のように子供を連れて安全なデモに参加したり、デモが終わってからご飯を食べに行ったりして、翌日には日常に戻っているということは想像しにくいです。政治や社会イシューに関するSNSの投稿やシェアをする前、慎重に考える人も多くなると考えられます。言論と行動との矛盾はもう許されないかもしれません。政治的立場に関わらず、香港のみならず海外にいる人を含め覚悟しないといけないと思います」

 イギリス政府は、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持つことができるイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者と、その扶養家族は、2021年1月からイギリスの特別査証(ビザ)を申請できるようになると発表した。中国政府は反発しBNOの無効化を検討すると表明した。「香港人は1つの市民権と1冊のパスポートしか残らないかもしれません。いろいろと考えるべきでしょう。移民して、香港の市民権をやめたら、香港に対する責任を担わなくても構いません。しかし、人間は社会に属する存在です。出身地への責任をせずとも、移住地への責任と人間としての責任は担わなければなりません。

 こういう風に考えると、移民は、経済面や生活面だけではなく、そもそも人生の生き方にも大きな疑問を投げかけられます。彼らはいかに公民としての責任を負いながら、移住地との信頼関係を築いていくのか、また別の挑戦になるのでしょう」と香港を出ていく香港人に高い自覚が必要になるとした。

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