2024年4月17日(水)

Washington Files

2020年9月7日

最新の秘密報告書

 それを如実に示したのが、国連専門家グループによる北朝鮮核問題に関する最新の秘密報告書だ。

 同報告書は去る8月4日、作成され国連安保理事会に提出されたが、機密性の高い内容が盛り込まれているため、その後も公表には至っていない。

 しかし、CNNテレビがコピーを入手、特報として報じたところによると、以下のような内容が含まれている:

  1. 「特定複数国」は、北朝鮮がすでに弾道ミサイルに弾頭として装着できるミニチュア化した核起爆装置をおそらく開発したと確信している
  2. 北朝鮮は核開発凍結を義務付けた国連制裁措5月置に違反し続けている
  3. 北朝鮮は濃縮ウランの生産、実験用軽水炉建設などを含む核開発を続けており、「某特定国」は北朝鮮が核兵器製造を継続して行っているとの評価を下している
  4. 北朝鮮は2018年は5月に、主要地下核施設に通じる複数のトンネルを破壊、解体したと公言していたが、実際には完全破壊した兆候は何ら見られない

 さらに9月1日には、IAEAが北朝鮮による最近の核開発状況の年次報告をまとめ、過去1年間の動きとして①北西部・寧辺(ヨンビョン)のウラン濃縮施設で関連車両の定期的移動や冷却設備の稼働が衛星画像、インテリジェンス情報などで確認された②新たな軽水炉建設に向けた部品搬入や建設用重機の稼働が探知された③南部の鉱山におけるウラン採掘が目的とみられる動きが存在する―などの点が列挙された。

 こうした状況を踏まえ、ロサンゼルス・タイムズ紙は先月24日、「北朝鮮問題はトランプ外交の主たる自慢の対象だったが、かえって事態を悪化させた」とするベテラン記者の解説記事を掲載、以下のように論じている:

 「トランプ大統領は過去4年近くにわたり、首尾一貫して意欲的な対北朝鮮和平外交に乗り出してきたが、朝鮮問題専門家たちの分析によれば、核の脅威が削減された証拠はほとんど存在せず、かえって増大させてきた」

 「ジョージ・W・ブッシュ政権下で北朝鮮問題を担当したビクター・チャ氏は『北の核兵器計画はその後、さらに前進してきており、米政府としてはまもなく、ピョンヤンの核兵器貯蔵の制限と検証を認めさせることを前提として、北朝鮮が核保有国であることを公式に認めるかどうかの選択を迫られることになる』と警告している」

 「トランプ大統領就任に際し、外交問題政権移行チームの一員を務めたジュン・パクCIA元担当官によると、北朝鮮は、すでに核拡散防止条約を無視して核保有国となったインド、パキスタン同様の扱いを国際社会で受けることをめざしており、金正恩自身、今、和平を望むどころか、体制引き締めのために国際緊張を望んでいる」

 しかし、トランプ大統領は、過去3回にわたる米朝首脳会談後のこうした北朝鮮の核開発加速を問題視する発言は一切控えている。

 それどころか、去る7月7日には、VOA放送とのインタビュー番組の中で「北朝鮮側はまた首脳会談を行うことを望んでいると思う。自分としても、もし、核廃絶のゴールに向け有益だと思えば、会談に応じる用意がある」と語り、以前と変わらぬ対北朝鮮微笑外交に意欲を示した。

 この点に関連し、米情報機関の分析では、金正恩氏自身も、11月米大統領選でトランプ再選への期待を示しているといわれ、もし、再選されることになれば、トランプ大統領によるさらなる微笑外交を隠れ蓑にした北朝鮮の核開発が、これまでより一段と加速することが懸念されている。

  
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