歩行橋で相互に接続といったまちづくり
Q 東京都東部のゼロメートル地帯の「江東5区」(墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)の広域避難計画が2018年に発表されたが、「逃げる場所がないので区域外に逃げろ」としか指摘されておらず、5区内での避難場所の具体的な指定がなく、批判的な意見が出ていた。この地域の具体的な防災対策について、赤羽国交大臣と小池都知事との間で最近、話し合われたようだが。
A 赤羽大臣と小池都知事が話し合った東京都の防災対策は、洪水対策と木造住宅密集対策だ。私が担当する洪水対策では、国が整備する高規格堤防、都が行うスーパー堤防などハード対策だけでなく、洪水時の緊急避難できる建物の確保などソフト対策も推進することにしている。5区の浸水想定区域内人口は250万人にもなるため、全住民を5区域外に避難させるのは難しい。公共交通機関も止まってしまうので、被害が起きる前に多くの住民をほかの地域に避難させるのも困難だ。今後は、5区内に高台作りや高いビルを避難場所に設定することや、歩行橋で相互に接続といったまちづくりを、モデル地区で具体的に検討してみようと考えている。
Q 各地で起きた浸水被害に対して、即座に被災地に人員や重機械を派遣するTEC-FORCE(テック・フォース、緊急災害対策派遣隊)が活躍しているが。
A TEC-FORCEは国交省の地方の出先にある地方整備局の災害支援経験を積んだスタッフが、いち早く災害現場に駆けつけて、決壊した堤防の修復や、排水ポンプを使って浸水地域の排水作業などをする。毎年派遣人数が増えており、各地で災害が起きているので職員はノウハウを積んできている。今回は大きな被害となった熊本県を中心に延べ8511人、排水ポンプをはじめ災害対策用機械を延べ2714台(7月31日現在)投入した。
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