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2020年7月21日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 新型コロナウイルスの影響で3月以降、すべてのクルーズを取りやめていた大型クルーズ船「飛鳥Ⅱ」(5万444トン、乗客872人)を運航している郵船クルーズは20日、最近の感染状況などを総合的に判断して、9月に計画していた国内4つのクルーズをすべて中止することを同日付けのホームページで明らかにした。「10月以降については流動的」としており、明確な見通しは立っていない。

安全を優先

飛鳥Ⅱ

 新型コロナの感染が終息に向かい、船内の感染対策が十分できるのであれば、クルーズ再開も可能という見方もあったが、最終的には国内の感染が収まらない状況から、乗客の安全安心を優先して中止を決めた。また、「飛鳥Ⅱ」、「ぱしふぃっくびいなす」(運航会社日本クルーズ客船)、「にっぽん丸」(同商船三井客船)のクルーズ船を運航する3社を中心に構成される日本外航客船協会(JOPA)は、クルーズ船業界として感染症予防対策ガイドラインを作成しようとしているが、まだできていないという。

 9月には、8日横浜発の5日間コースで東北の大船渡、常陸那珂を経由する「爽秋のみちのくクルーズ」、22日横浜発の12日間コースで神戸、瀬戸内海、佐伯、金沢、秋田、函館、八戸を回る日本一周クルーズなどが計画されていた。既に申し込んでいる利用者にはすべて返金する。

 10月以降のツアーについては、感染症対策に考慮した船内オペレーションの準備を進めているが、再開時には日程を短縮し、クルーズの内容を変更するとしている。

心配な感染リスク

 「飛鳥Ⅱ」は今年初めに数十億円をかけた大改装を行って、4月2日から改装後最初のクルーズとして世界一周ツアーに出港する予定だったが、新型コロナですべてのクルーズが中止となり、横浜港に係留されたままになっている。

 感染が広がっている状況でクルーズを再開しても、船内での乗客の行動は一部制限されるため、乗船中は常に感染に注意しなければならず、クルーズツアーで最も期待されている寄港地観光を含む、楽しいはずのツアーが期待外れになる恐れがある。

 クルーズ船による訪日外国人数は、2019年は約215万人まで増加、寄港回数は2867回となり、日本人の間にもクルーズツアーが少しずつ認知されてきていた。ところが、感染拡大により、いわゆる「3密」の状態を作りやすいクルーズ船特有の感染リスクが指摘されていた。

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