2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年9月28日

テレビ討論会と非言語コミュニケーション

 うえでは言語コミュニケーションを中心に語ってきました。次に、テレビ討論会における非言語コミュニケーションの重要性について紹介します。

 12年米大統領選挙の1回目のテレビ討論会において、民主党大統領候補オバマ前大統領は、共和党大統領候補ミット・ロムニー氏(現在上院議員)から激しい攻撃を受けました。オバマ氏は傾聴をするとき、頭を縦に振る癖があります。

 ロムニー氏からの批判に対して、頭を縦に振るオバマ前大統領を観た有権者の中には、同前大統領が賛同したと解釈した者がいました。加えて、オバマ氏はロムニー氏の攻撃に対して即座に反論できず、つまってしまったのです。まったく精彩に欠けていました。

 その結果、オバマ氏はロムニー氏にテレビ討論会で敗れ、しかも支持率までも逆転されてしまったのです。

 非言語コミュニケーションが問題になったテレビ討論会をもう1つ紹介しましょう。16年大統領選挙における2回目の討論会は対話集会の形式で行われました。

 民主党大統領候補であったヒラリー・クリントン元国務長官は、会場にいるどちらの候補に投票するのか「決めかねて有権者」から質問を受けると、質問者の方へ向かって歩き回答をしました。そのとき、トランプ大統領がクリントン氏の背後に近づき、彼女の真後ろに立ったのです。

 トランプ氏の狙いは、主として3つあります。まず、クリントン氏に圧力をかけました。次に、メディアの露出度を高めました。そのうえで、クリントン氏の意見に否定的なトランプ氏の表情をカメラに撮らせました。

 心理学者アルバート・メラビアンの法則によれば、感情の表現は言葉が7%で、声のトーンや速さが38%、表情が55%を占めています。つまり言語は僅か7%で、93%が非言語です。テレビ討論会では有権者は映像を通じた候補者の非言語に基づいて判断を下します。

 テレビ討論会におけるトランプ・バイデン両候補の非言語コミュニケーション能力及びスキルが勝敗に大きく左右するかもしれません。

  
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