海野素央の Love Trumps Hate

2020年9月15日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

(REUTERS/AFLO)

 今回のテーマは、「オクトーバー・サプライズは起きるのか?」です。米大統領選挙の年において、選挙結果に影響を与える投票日直前の驚くべき出来事を「オクトーバー・サプライズ」と呼んでいます。

 2020年米大統領選挙ではオクトーバー・サプライズが果たして起きるのでしょうか。仮に発生するとすれば、どのようなオクトーバー・サプライズが生じる可能性があるのでしょうか。

 本稿では、ドナルド・トランプ大統領及び民主党大統領候補ジョー・バイデン前副大統領にとって有利に働くオクトーバー・サプライズについて述べます。

私のオクトーバー・サプライズ

 12年米大統領選挙において、筆者は研究の一環として南部バージニア州フェアファックスにあるオバマ選対に入りました。投票日まで残り1週間になった同年10月29日、ハリケーン「サンディ」が米国東海岸に上陸し、甚大な被害を与えました。

 当時、2人の「特別なゲスト」が選対を訪問する予定になっていました。ところが、サンディが原因で「特別なゲスト」の選対訪問はキャンセルになってしまったのです。選挙後にスタッフが明かしたのですが、2人とはバラク・オバマ前大統領とビル・クリントン元大統領でした。

 オバマ前大統領は即座に被災地の東部ニュージャージ州に入り、クリス・クリスティ前知事(共和党)と共に視察して、記者会見を開きました。

 クリスティ前知事は大統領選挙でオバマ氏のライバルであったミット・ロムニー候補(共和党)のアドバイザーで、同候補と非常に近い関係にありました。中西部アイオワ州デモインで開催されたロムニー氏の集会に応援に駆けつけたクリスティ氏と、筆者は握手を交わしたことがあります。

 そのクリスティ氏がオバマ氏と記者会見に臨み、協力しあう姿の映像が全国に流れました。オバマ選対でその映像を観ていた韓国系米国人のスタッフダニエル・イさんが満面の笑みを浮かべていたのを、筆者は鮮明に覚えています。このとき、イさんはオバマ前大統領の勝利を確信したのです。

 フェアファックスのオバマ選対で、ボランティアの運動員であった初老の白人女性エリン・ペンスさんは、「モトオ、サンディがオバマとクリスティを結びつけてくれたの」と、筆者に興奮した口調で語りかけてきました。

 イさん同様、ペンスさんもオバマ勝利を信じて疑わない様子でした。選対の中は、ハリケーン「サンディ」がオバマ氏に勝利をもたらしたという雰囲気に包まれていました。

 もちろん、オバマ前大統領がハリケーン「サンディ」の対応に遅れ、クリスティ前知事と対立していたならば、正反対の選挙結果になっていたかもしれません。12年米大統領選挙ではサンディがオクトーバー・サプライズになりました。

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