世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2020年10月16日

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 9月下旬、新疆ウイグル自治区の統治政策を協議する高官会議、「中央新疆工作座談会」が2014年以来6年ぶりに北京で開催された。この中で習近平は、「実践は新しい時代における新彊統治の党の戦略は完全に正しいことを証明した」と宣言、ウイグル人などの「魂のなかに中華民族の意識の共有を作る」ためのさらなる措置を命じたという。これまでのウイグル人弾圧を正当化し、さらに継続、強化することを明言したことになる。

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 ワシントン・ポスト紙の9月30日付け社説‘China’s Xi is doubling down on genocide(中国の習近平はジェノサイドを強めている)’は、それを受けて、改めて中国を非難している。社説は、最近の2つの新たな証拠を挙げ、習の言葉は単なる脅し以上のものであると警告している。

 第一は、オーストラリア戦略政策研究所の新彊データ・プロジェクトによる衛星写真で、ウイグル人収容のために新しい刑務所のような施設を建設していることが読み取れるという。社説によれば、衛星画像は、2017年以降380か所の抑留センターが建設あるいは拡大されたことを示している。

 第二は、同じく衛星画像に基づくもので、2017年以降、地域の8500のモスクが破壊され、7500のモスクが損傷されたとする研究結果である。この数字は新彊のモスクの3分の2に当たるが、中国のモスクは保護されているとの公的主張が嘘であることを示す。

 こういう問題については、何度もしつこく中国を非難していくことが重要である。中国の少数民族政策は、ウイグル人にまでも中華民族意識を共有させようとする同化政策だが、そういう政策は結局うまくいかないように思える。

 上記社説の中の「習近平は明確にこれらの犯罪行為を継続する意図を示した。しかし国際的反応は弱いままである。たとえばEUは新彊にオブザーバーを送りたいという役に立たない要請をしているだけである。必要なのは西側民主主義国が北京により大きなコストを課す協調的で団結した反応をすることである」との指摘はその通りである。しかし、このまま中国によるウイグル人弾圧が強化されて行けば、西側は人権尊重の観点から、もっと強く反対せざるを得なくなるであろう。イスラム諸国も中国に対して反感を持つに至るであろう。今は中国との関係から得られる利益に鑑み、中国批判を控えているが、これらの国が自らの宗教に対する攻撃をいつまでも看過することはないのではないか。イスラム教徒の護教意識を中国は軽視しているように思われる。

 日本としては、人権の尊重、イスラム教の尊重(すなわち信教の自由)を唱えることは日本の価値観に合致するし、西側諸国とイスラム諸国との関係の改善の利益のためにも役立つだろう。

  
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