田部康喜のTV読本

2012年8月15日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 この時点で、大川小学校の児童108人のうち74人が犠牲となり、4人が行方不明だった。カメラが1年間追い続けた夫婦は、小学校6年生の男子を失い、4年生の女子の遺体を捜し求めて海岸線や瓦礫のなかを探し回っている。母親は女子に対する思いを綴った色紙に手紙を書き、小学校の前に作られた慰霊の花々を置く台に、何度もたてかける。

 震災の直前に携帯で撮影した、娘がピアノを弾く映像を母親はなんども眺める。娘宛の手紙を書く「お父さんとお母さんのところに戻っておいで」と。

 夢でもいいから、と彼女はいう。2011年9月、行方不明者の捜索の陣容は縮小され、娘の葬儀を営む。 

 画面は吹雪となる。2012年の年が明けて、母親は初めて娘の夢をみる。「思いが通じた」と、彼女はつぶやく。

 NHKスペシャル「映像記録」の結語で締めくくりたい。

 「あの日を忘れてはならない。映像が語りかけています」

(敬称略)

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