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田部康喜のTV読本

2020年10月24日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

浜辺の俳優人生契機となる作品へ

 第2話(10月16日)に至って、真実―黒岩コンビは山奥の里にある、教団の教祖(伊藤歩)との対決に向かう。和紙の紙すき職人である、谷村寛治(竹原ピストル)が、妻が教団にお布施を貢いだ末に、死んだ恨みを晴らしてほしい、とふたりを訪ねてきたのだった。

 教祖(伊藤)は、手のひらに炎を上げてみせ、手のひらをかざすと火がでる。真実は、化学の文献を取り寄せて、手のひらに水分を含ませたうえに、エーテルをのせて火をつければ気化熱でやけどをしないことを見抜く。火が出るのは、あらかじめナトリウムを仕掛けておいて、水を垂らせばいい。

 2人は村の旅館にふすまひとつ隔てた、ふたつの部屋に泊まる。電気が消えて、蝋燭の明かりのなかで夜風の音が激しく、真実を怖がらせる。真実は、ふとんを抱えて、黒岩の部屋に移動する。

 真実「黒岩さんが近づいてくる、不穏な空気を感じたものだから、こっちの部屋で見張ろうと思って」

 消したはずの蝋燭が再び火を噴いて、ふすまに燃え移り、ふたりは危うく火事に巻き込まれる寸前だった。さらに、ふたりと旅館の主人・須川辰造(阪田マサノブ)は教祖と信者たちによって、和紙の原料の木が敷き詰められたところに座らされて、教祖に火をつけられそうになる。実は須川と教祖はグルで、村人からお布施を騙しとるために協力していた。

 「私の信者になると最初にいった者は助けよう」と教祖がいうと、まっさきに黒岩が名乗り出る。

 黒岩「さあ、火をつけなさい。できないのは、須川さんと共犯で、最初に助けようと思ったが、僕が最初に手を挙げたからできないんだろう」

 須川がそれを認めると、信者たちはいっせいに教祖から離れた。

 「君の膵臓を食べたい(キミスイ)」(2017年・月川翔監督)によって、日本アカデミー賞・新人俳優賞など、各種の新人賞をそうなめした浜辺は、本作によって本格的なコメディアンヌを演じて、俳優人生の画期になるだろう。「TRICK」によって、仲間由紀恵が俳優として幅を広げたように。

 浜辺主演の映画最新作「思い、思われ、ふり、ふられ」(三木孝浩監督)を観た。「キミスイ」の相手役・北村匠海を再び共演に迎えて、高校生のせつない初恋を描いて魅せる。だが、そろそろ高校生役を卒業する時期にきている。

  
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