田部康喜のTV読本

2020年10月24日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(Love portrait and love the world/gettyimages)

 NHK「タリオ 復讐代行の2人」(金曜午後10時)は、大ヒットドラマ「TRICK(トリック)」の脚本を手掛けた蒔田光治が、元弁護士・白沢真実役の浜辺美波と詐欺師・黒岩将生役の岡田将生のコンビニよって、新たなコメディを送り出した。テンポの速いドラマは、「TRICK」のようなシリーズ化を早くも予想させる。

 自称天才マジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵)と、物理学者の上田次郎(阿部寛)がインチキ宗教家らの手口を暴く「TRICK」がさまざまなパロディを展開すると同時に、セリフのやりとりのおもしろさに魅力があった。浜辺―岡田コンビも仲間―阿部コンビに負けてはいない。

 第1話(10月9日)は、真実(浜辺)の過去が明らかにされる。父の弁護士・白沢正弘(遠藤憲一)が投資詐欺事件の容疑者として追われることになり、失踪した。親戚を頼って育った、真実(浜辺)は司法試験予備試験制度によって、20歳で弁護士になった。「わたし、実は司法修習所を首席で卒業したんです」が口癖である。

 「黒岩!」と、真実が呼び捨てにする、ふたりが出会ったのは、真実が所属していた法律事務所で担当している事件の当事者の綿貫依里子(白石糸)の相談からだった。綿貫は大手ゼネコンの御曹司から暴行を受けたが、刑事事件にもならず、民事でも負け続けていた。復讐を代行するという黒岩(岡田)に10万円を振り込んだところ、さらに100万円が必要だと連絡してきたというのである。

 真実(浜辺)は、黒岩(岡田)にあっさりと詐欺を認めさせて、10万円を取り戻した。大手ゼネコンの御曹司からカネを騙し取ろうという黒岩と、被害者の綿貫のために暴行事件を暴きだそうという真実の思惑が一致して、ふたりはコンビを組むことになる。

 敵情を探ろうとして、真実は敵の罠にかかって、弁護士会の懲戒処分を受けて元弁護士になってしまう。黒岩と真実は、御曹司のゼネコンの下請けで仲間の建設業の経営者に目をつける。借金に苦しむこの経営者は、ゼネコンに土地や建物を抵当に奪われてしまいかねない状況にあった。妻と娘思いで、財産を残してやりたい男に、真実と黒岩はさりげなく法律の抜け穴を教える。不倫を装って、妻と離婚して慰謝料を支払う方法である。

 ふたりは、この男の協力を仰いで、綿貫の暴行事件があった日に御曹司が自宅のマンションに酔った彼女を連れ込むところが映った防犯カメラの映像を手に入れる。御曹司の結婚式で、新郎新婦の思い出を振り返るビデオの上映を中断させて、この防犯カメラの映像を流したのだった。

 復讐代行の2人の誕生である。タリオ(talio)は、ラテン語で被害者と同じ害を加害者に与える処刑法。「目には目を、歯には歯を」である。

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