2024年4月26日(金)

WEDGE REPORT

2020年10月27日

トランプ氏の思い込み 

 同紙の編集幹部らは大統領のこうした発言で、利用されているのではないか、と思い始めていた。こうした中、記事が出ないことにしびれを切らした情報提供者のボブリンスキ氏は21日早朝、ハンター氏とバイデン氏に関する疑惑をオンラインで公表した。バノン氏が経営していた右派のブライトバート・ニュースは公表された内容全文を流した。

 ボブリンスキ氏はディベートが行われたテネシー州ナッシュビルの会場に大統領の特別ゲストとして、開始2時間弱前に姿を現し、バイデン氏が息子の事業に関与していたとする声明を読み上げた。驚いたことにトランプ大統領はディベートで、バイデン氏にまつわる疑惑が周知のことであるように振る舞った。

 例えば大統領はバイデン氏に「あなたはビッグマン(大物)だ」と述べて、疑惑のeメールの中で同氏に触れられた文言に言及したが、理解できなかった国民も多かった。大統領にはバイデン氏の疑惑は誰でも知っているという思い込みがあったようだ。ニューヨーク・タイムズはFOXニュースなど大統領寄りのメディアを視聴していなければ、大統領が何を言いたかったか、分からなかっただろう、と指摘している。

 ウォールストリート・ジャーナルは結局、ディベートの後に短い記事を掲載、疑惑の存在を報じたが、バイデン氏の役割を証明できなかったと伝えた。同紙のマレー編集局長は「われわれは正確で、信頼できる報道しかしない」と述べただけで、疑惑報道の背景などについては説明を避けた。ニューヨーク・タイムズは「マクリーン・グループ」の破綻した計画について、トランプ陣営の「混乱した陳腐な特質」を明らかにするものと書いている。 

  
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