習近平は毛沢東に匹敵する偉大な独裁者になった。12年とは異なり、周庭は習近平の視野に入った。独裁者の成功と政治的失敗を引き起こし、その政権にあらゆる方面から挑戦を受けさせた象徴的な人物の一人になった。周庭は、世界最年少の、最も注目される政治犯になるかもしれない。
このコントラストには意味がある。習近平の強さと脆弱性を示しているからだ。敵が多い習近平には、転覆に必要な条件が揃っている。広く反抗する人々、持続可能な政治的反対運動、中国共産党内部の分裂、党内の習近平に対する反対勢力と民間・国際社会との連携、国際社会の民主主義革命への支援─などだ。
作家・村上春樹が述べたこと
日本が果たすべき役割とは
今日の中国の経済的・軍事的発展は、第二次世界大戦前の日本の状況に非常に似ている。それは深刻な欠陥を伴う近代化のプロセスである。それゆえに、中国は現代の国際文明秩序にスムーズに入ることができない。日中関係は単純な国家間関係ではなく、一般的な善隣関係でもないことを理解する必要がある。この現代国家と半現代国家の関係には、さまざまな現実的利益と歴史的葛藤が絡まり合っている。
中国の軍事力の全面的な成長は、日本の国家安全保障にとって最大の不利な要因である。日本と中国の間にあるのは、基本的にイデオロギーの矛盾である。根本的な価値の対立がない場合は、両国の矛盾や利害の対立は極端にはならず、理性的かつ法的な手段による解決が可能だが、中国の基本的な価値観に対抗することは、日本の国家安全保障に関わる。
21世紀はアジアの世紀とよく言われるが、実際には21世紀は皆の世紀だ。良くなるか悪くなるかは、我々の行動次第だ。アジアで最も強力な民主主義国家として、日本は地域のメカニズムを形成する上で主導的な役割を果たすべきだ。民主主義国を中核とするこのような地域同盟の確立は、中国の民主化を促進するだろう。最後に、日本の与野党は中国に対して次のコンセンサスを持つべきである。
▶大規模かつ、非民主的で文明化されていない隣国の体制は、日本の安全と民主的なライフスタイルにとって好ましいものではない。
▶中国の人権状況の改善と民主化を支援することは、最終的には中国人の日本に対する憎悪の解消に役立つ。
▶日本はアジアで最も強大な民主主義国であり、中国の民主化を支援するために、より強い自信を持ち、道徳的責任を負わなければならない。
作家の村上春樹はかつてこう述べた。「高く、堅い壁と、それに当たって砕ける卵があれば、私は常に卵の側に立つ」。私はこの文に無条件に同意しないが、日本が習近平(高い壁)と周庭(卵)のどちらを選択すべきかは明白であろう。周庭の側に立つ日本こそが、文明的であり、強大である。
■脱炭素とエネルギー 日本の突破口を示そう
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DATA データから読み解く資源小国・日本のエネルギー事情
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PART 4 数値目標至上主義をやめ独・英の試行錯誤を謙虚に学べ
COLUMN 進まぬ日本の地熱発電 〝根詰まり〟解消への道筋は
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