中古車輸入規制で販売台数が半分以下に
ところが、09年にロシア政府が中古車の輸入関税を引き上げる措置に踏み切った。海外の自動車メーカーを誘致し国内生産を進める一方で、輸入を規制しようというわけだ。なかでも極東からシベリアにかけて圧倒的なシェアを持つ日本の中古車を狙いうちにしたかのように、右ハンドル車の規制までもが政府内で検討されたという。
こうした状況から同社のロシア向けの損害車輸出は月間400台にまで減ってしまう。ロシア政府が進める産業政策に翻弄された形だ。こうした事態をどのように乗り切ろうとするのか。宮本明岳社長はこう説明する。
「海外での事業にリスクはつきもので、リスクのない国などありません。リスクに直面したときにどう対応するかが大切なのです。ロシアでは損害車のビジネスだけに頼るのではなく、ロシア人の日本製品への高い信頼感をもとに扱う商品を多角化することにしたのです」。
同社では、オリジナルブランドで開発したエンジンオイルを、自動車やパーツの販売を通してロシア国内にすでに築いていた販路を活かして売り込みを開始。さらに、ロシアで日本製の化粧品の人気が高いと見るや、ロシアの大手化粧品販売業者と提携してオリジナル化粧品の販売も始めた。どちらも順調に売り上げを伸ばしているという。
⇒WEDGE9月号特集の第1部「1.8兆円が投下 巨大開発進む極東」はこちら
特集『APEC開催に沸く ウラジオストク現地ルポ』
◎1.8兆円が投下 巨大開発進む極東
◎東にシフトするロシア産石油・ガス
◎シベリア鉄道と極東の自動車生産〔マツダ、トヨタ、日本通運、TAU〕
◎先を見据える韓国と軋轢生む中国
◎APEC後の極東 甘くない将来
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。