2022年11月27日(日)

Washington Files

2021年1月4日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

環境政策と国防安保をリンクさせる

 さらに、「バイデン・プラン」のもうひとつの見逃せない特徴として、「環境はすなわち国家安全保障」と断じた上で、環境政策をアメリカの今後最低4年間の国防・安全保障政策と直接リンクさせていく姿勢を明確にしたことが挙げられる。ケリー大統領特使がわざわざ国家安全保障会議(NSC)の常連メンバーとなるばかりか、むしろ中心的役割を担っていくとしているのもその表れだ。

 バイデン次期大統領はこの点についてより具体的に、①世界各地における水不足、洪水、地域紛争リスク、政情不安、大規模住民移動など気候変動に由来する「国家安全保障および経済安全保障」に関する「国家情報評価National Intelligence Estimate(NIE)」を国家情報長官に毎年提出させる②国防長官および統合参謀本部議長に対し、気候変動が米軍戦略・展開に及ぼす影響について年次報告を提出させる③国家安全保障大統領補佐官に対し、気候変動の安全保障リスクに対処する総合戦略を立案させる―などと述べている。

 アメリカにはもともと、1929年世界大恐慌後の国を挙げての一連のニューディール政策(F・D・ルーズベルト政権)、第2次大戦後の目覚ましい経済発展(トルーマン政権)に象徴される通り、一人の大統領が打ち出す大胆な構想によって、驚くべきスピードで成果につなげていった経験と実績がある。

 そして世界は今、昨年以来の、新型コロナウイルス感染による100年に一度ともいわれる未曽有の経済危機に直面している。まさに今こそピンチはチャンスであり、これを受けたかたちの「バイデン・プラン」は、アメリカが再び世界経済復興のエンジンとなる可能性を秘めていることだけは確かであろう。

  
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