2022年12月4日(日)

World Energy Watch

2021年1月20日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

市場連動型契約で電気料金高騰

 東日本大震災後、報道機関の解説者などが「東京電力などが地域独占で供給を行っていたため発電設備が不足し計画停電が引き起こされた」と指摘し始めた。停電は、燃料を船から受け取るため海岸線に立地するしかない原子力、火力発電所が津波により被災し発生した。誰が発電所の所有者でも、地域独占でなく自由化されていても、計画停電を免れなかったが、当時の民主党政権は電力市場を全面自由化することを決定した。その結果消費者は地域独占であった大手電力に加え、新たに電力小売りを始めた新電力からも電気を購入することが可能になり、選択肢が増えた。

 数多く登場した新電力は、他社よりも競争力のある電気料金を提示できないか検討する一方、差別化のため新しい料金メニューも考えだした。その一つが、一部新電力が導入している市場連動型電気料金プランだ。卸価格が低位安定している中では一見消費者には有利に見えるプランだが、コストの多くを燃料代に依存する火力発電が設備の中心である以上、卸価格の下落には限度がある筈だし、燃料代の大きな上昇があれば、卸価格が上昇することも明らかだ。

 今回のように需給が逼迫少すれば市場を反映し卸価格は高騰し、消費者の支払う電気料金も大きく上昇する。会社によりプランは少し異なるが、多くでは消費者支払いの電気料金に、上限なく卸価格上昇分を転嫁することが可能だ。高騰している卸市場価格の上昇分を全て小売価格に転嫁すると電気料金が、通常の5倍、あるいはプランによっては10倍になる消費者も出てくるとも報道されている。消費者にも料金上昇のリスクがあることは周知されていただろうが、大きな額の卸価格上昇となったことから、メニューを提供している新電力の中には、他プランへの乗り換え推奨、補填などの対策を取るところも出てきたようだ。

 昨年コロナ禍により電力需要が減少し、卸価格が下落した際には連動型プランでは電気料金が安くなった契約者が多かっただろうが、下げには限度があっても上げには限度はない。卸電力価格が思わぬ高騰をすることは海外でもあった。

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