バイデン政権になっても人種間の格差はそれほど解消していない、という不満
ここには様々な問題が含まれる。バイデン政権になっても人種間の格差はそれほど解消していない、という不満。そして65歳以上の接種がある程度進まないと次の段階に行けないため、黒人やヒスパニックの人々が接種を受けないことに対する若い層からの不満。こうした社会的な不満が一定以上に高まると、社会的な問題を引き起こす可能性がある。
ロサンゼルスでは1月30日、ワクチン接種に反対する人々とコロナを今も信じない極右勢力の一部がドジャースタジアム前でバリケードを貼り、接種が一時停止となる騒ぎも起こった。米国では子供の予防接種を含め、一切のワクチンを拒否する、という人々が存在する。こうした人々と極右が絡み合っての騒動に発展した。
厄介なのはワクチン拒否の人々はそれが「人間の健康のためには最も良いこと」だと信じており、良心からワクチン接種に反対している、という点だ。デモに参加した人々は「魂を救おう、今なら引き返せる」といった内容のプラカードを掲げていた。ごく少数とは言えワクチンの副作用が起きるケースもあるため、自らを実験体に差し出す必要はない、というのが彼らの主張だ。
今後こうした衝突は全米各地で起きると予想される。そこに人種間格差の問題が加わると、大きな暴動に発展する可能性も否定出来ない。まずは露呈した人種間格差をどのように縮めていくのかが喫緊の課題となりそうだ。
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