コロナウィルスの感染者が世界一の2340万人の米国。全世界のおよそ4分の1を占める。またカリフォルニア州は290万人と、米国の感染者の1割以上だ。その米国、特にカリフォルニアでコロナワクチンの接種がなかなか進んでいない。
これまでワクチン接種を受けた人は人口の3.4%で、各州に配分されたワクチンの6割以上が未使用のままだ。州ごとに見るとウエスト・バージニア、サウスダコタはそれぞれ6%以上、アラスカ、ノースダコタは5%以上だが、カリフォルニアは2.5%、ニューヨークは3.5%にとどまっている。
理由はいくつか挙げられる。まず、国民全員にワクチン、というのが前代未聞のことであり、行政側に混乱が見られること。医療従事者、高齢者などの優先順位をつけ、順次接種の予定が医療関係者の中にワクチン拒絶があったりして中々進まないこと。ワクチンを接種する側の安全が確保されていないこと、などだ。
カリフォルニア州の場合、フェーズ1から2の順に接種というガイドラインが定められており、フェーズ1にはAからCまでの3つのカテゴリーがある。しかもそのカテゴリーがまた3つ以上に細分されている。
最優先となるフェーズ1Aの場合、まず専門病院や長期療養病院の医療スタッフと患者、次に州政府の児童家族部門担当者、メンタルヘルス担当者、中期療養病院の患者その他、最後に指圧やカイロなどの医療従事者、PCR検査担当者、歯科、眼科、薬局その他の緊急ではない医療担当者、となる。
1Bになってようやく65歳以上の高齢者が対象となるが、1月15日になって州はようやく65歳以上の接種を開始する、と発表した。その後教師、保育士、救急隊員、農業や食品関係、物流、企業や商業施設、生活必需品の製造などの職業に従事する人々。
1Cは50歳以上もしくは基礎疾患のある人及び職場でリスクが高いと判断された人。職場には上下水道管理、軍、エネルギー、ケミカル及び危険物取り扱い、コミュニケーションIT、金融、政府関連などが含まれる。
フェーズ2が49歳以下で健康リスクが少ない人となるが、こちらはまだカテゴリーなどが発表されておらず、今後順次発表となる予定だ。
このような細かい区分けがされているがゆえに、現場では混乱が生じている、という。そもそも誰が対象になるのかをリスト化するのが大変な作業だし、病院の患者に至っては再優先なのかその次になるのかを誰が判断するのか、という問題もある。さらにワクチンを投与する側をまず最優先にすべき、との意見もあり、なかなか接種がスムーズに進んでいない。
65歳以上の接種が始まった、と言っても何か公的アナウンスがあるわけでもなく、一体どのような形でワクチンの対象であることを知らせるのかも疑問だ。ホームレスや不法移民で住所登録のない人をどう扱うのかも今後問題となるだろう。
しかもワクチンの副作用や効力についての疑問もあり、すべての人が接種を望んでいるわけではない。ワクチン接種を希望する、と答えている人はまだ全体の58%で、これでも昨年7月の34%と比べると上がってきている。それでも4割強の人はワクチン接種そのものを拒否する、と答えている。
ロサンゼルス郡のワクチン接種ホームページでは上記のフェーズが記されており、メールアドレスを登録すれば最新の情報が送られる、とある。一方で「まだ65歳以上の高齢者への接種は開始していない」と明記されているのに、公衆衛生局が「65歳以上の接種を開始した」と発表するなど、統一性が見られない。