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2021年1月19日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 もしも自動販売機で手軽にコロナウィルスのテストキットが手に入れば。そんな羨ましい状態を現実にしているのがカリフォルニア大サンディエゴ校(UCSD)だ。同大学では今年1月2日にキャンパス内に11カ所のコロナテストキットの自販機を設置。今月中に計20カ所にまで増やす予定だという。

(Gilnature/gettyimages)

 キットには綿棒と容器が含まれており、利用者は自分で綿棒を鼻の奥に差し込んで拭った後容器に入れ、自販機の横に設置された回収ボックスに入れる。検体採取後72時間以内にボックスに入れることが要求されている。その際にスマホでキットのQRコードをスキャン、結果はスマホに送信される。

 このキットを利用できるのは同大学の学生及びスタッフで、無償で提供されている。大学側は学内の寮などで生活する1万人ほどのすべての学生に対し、少なくとも1週間から9日間間隔でテストを受けるよう要請している。ただし利用できるのは大学関係者のみで、自販機にアクセスする際に学生証などをパネルにタッチすることでキットを手にすることができる。

 この試みは、同大学の「リターン・トゥ・ラーン」プログラムによるもので、大学での対面授業をなるべく安全かつ速やかに再開することを目的としている。この冬学期、UCSDで対面授業が行われているのは全体の1割程度、しかも授業は教室ではなく屋外で行われている。実験など、どうしても屋内で行う必要がある授業の場合、学生数が50人以下もしくは教室の定員の25%以下であることが求められる。

 また同大学ではセルフテストの他、ドライブスルーによるテストも行っており、こちらは専門の職員によるテストとなる。

 テストキットの自販機は人気を集めつつあり、1月15日にはカリフォルニア州北部、オークランド国際空港にも設置された。15分で結果が分かり、料金は130ドル。米国では他州からの旅行者に対しコロナの陰性証明の提示を求めるところもあり、旅行者にとっては気軽なテストの場となりそうだ。

 キットと自販機を運営しているのはWellness for humanity(ウェルネス・フォー・ヒューマニティ)という企業で、今後さらにニューヨーク、テキサス、オハイオなどにも自販機を設置する予定だという。

 また自販機だけではなく、例えばイベントなどの際にテントを使ったポップアップのテスト会場、企業へのクイックテストの提供なども行っている。常設のテスト場もあるが、現時点ではアトランタ、ヒューストン、ホノルル、サンノゼのみで、今年中にニューヨークとマイアミにも開設を予定している。

 同社は今後自販機を全国で1000台以上設置することを目論んでおり、自社あるいはショッピングモールなどに自販機を設置したい、という企業などを募集中だという。

 スマホによる結果通知には、TRUSTPASSというアプリが用いられている。このアプリはテスト結果だけではなく、感染者との接触があった場合のトラッキング、また陽性反応が出た人のためのフォローアップの機能も持つ。

 UCSDが大学として初めてこのキット自販機を導入したのには、やはり南カリフォルニア一帯でのコロナ感染者の爆発的増加が背景にある。同大学でも冬期休暇終了後、245人もの集団感染が報告されている。

 このうち109人が学内の寮で暮らす学生で、うち85%が冬期休暇に帰省や旅行などをしていた。大学は「この結果を見ても、パンデミックの最中に移動を行うことは危険を伴うことが明らかだ」としている。

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