田部康喜のTV読本

2021年2月13日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(banabana-san/gettyimages)

 「江戸モアゼル」(読売テレビ制作・日本テレビ系列、毎週木曜よる11時59分)は、1860年の江戸時代からタイムスリップして現れた、吉原の花魁(おいらん)仙夏役の岡田結実がコメディアンヌの才能を全開にする。深夜帯にふさわしく、仙夏に心が癒されながら、5分に1度は笑える傑作である。

 「粋(いき)じゃないねぇ」の決まり台詞で、仙夏(岡田)がからみあった人間関係をほぐしていく。1話完結の大団円に加えて、果たして仙夏は江戸時代に戻れるのか。ドラマは仙夏を巡る恋模様も描いて、一瞬も飽きさせない。

 現代にタイムスリップして、途方に暮れていた仙夏を拾ったのは、カフェの店員をしているフリーターの蔵地俊輔(葉山奨之)である。父に勘当された俊輔は、カフェの経営者である、叔父の雄彦(田中直樹)の家に住んでいる。仙夏(岡田)も一緒に暮らすことになり、昼間は俊輔と同じようにカフェで働くようになる。

 花魁の派手な髪形を通している、仙夏の姿がまずおかしい。決め姿のときにキセルを口に寄せる。雄彦の娘の大学生・寿乃(ひさの・山口まゆ)は、江戸マニアで仙夏のよき理解者である。

 カフェのコーヒーの出前先である、ウェブ広告会社の社長・鳥居直樹(前田公輝)は、仙夏が吉原にいたときに恋仲だった、大工の「直さん」とうりふたつ。しかし、その性格は感情には流されない冷徹な心の持ち主。だが、どうしてか自分でもわからない感情の波が押し寄せて、仙夏を思うようになっていった。鳥居(前田)の部下の春日泉美(吉谷彩子)は、俊輔(葉山)が高校時代から10年も思いを寄せる女性である。

 第5話(2月4日)は、カフェの店員・松野隆二(森田甘路)の娘の百合(牧野羽咲)が突然、店に現れてから騒動が始まる。

 つき合い始めた俊輔(葉山)と泉美(吉谷)、たわいのない会話をしている。

 「思い出すな。僕が慶応大生だったころ、20歳で結婚して娘ができて……」と、松野(森田)が思いもよらないことを言い出して、仙夏らがあきれている。さらに、松野は2年前に離婚したというのである。「お父さん」といって、松野とは似ても似つかない美少女の百合が登場する。

 タレントのオーディションを受けるという、百合はまだ12歳で保護者の承諾がいるというのである。また、松野の家にしばらくいたいという。

 松野は実は、百合に自分はカフェの経営者で、全国展開を狙っている社長だと嘘をついていた。俊輔(葉山)に百合を預かってくれるように頼むが、「困りますよ」と断られる。

 その間に、仙夏(岡田)が「私が守ってあげるよ。あんたの歳に私もひとりになったんだ」

 「おいおい、一緒に住んでいる俺にだまって困るよ」と、俊輔。

 「えっ!仙夏さんと一緒に住んでいるってなによ」と、泉美(吉谷)は驚く。

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