2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2021年4月6日

「ほめ殺し」で日本の二の舞を踏むな

 同じ2011年出版の『中華大趨勢 中国拒絶捧殺』(舒秦峰著 中華工商聯合出版社)では、日本を例にして「中国が捧殺(ほめ殺し)を拒絶する」に至った理由を説く。

 「第二次大戦後、日本経済は猛烈な勢いで成長を遂げ、20数年足らずで廃墟の上に一大経済強国を作り上げた。当時の西側世界による日本への『捧殺』は現在の中国へのそれどころの騒ぎではなかった。1979年、アメリカ人学者のエズラ・ボーゲルが『ジャパン・アズNo.1』で日本は多くの部門でアメリカを超えたと指摘するや、10年ほどの間だが、日本は有頂天になり、この世の春を謳歌した。やがてバブル経済の破裂がキッカケで長期停滞に陥り、苦境に喘ぐ」と分析してみせる。

 そして、「中国モデルに対する高評価は、すでに国の内外でみられる流行であり、時代の潮流となった。〔中略〕中国が己を失って有頂天になるなら、本来進むべき方向を見失う。こうして“過度の評価”は“捧殺”に転ずる。誉め殺しに左右されることなく、潜心陶冶し、自らの脆弱性を克服してこそ真の大国となりうる。これこそが大勢の赴くべき当然の姿だ」――これが著者の基本姿勢だろう。

 日本人としては“痛いところ”を突かれた感もするが、「中国の夢」を実現するためには西側からの「捧殺」を拒絶する必要あり、との警句と受け止めることもできる。ということは、「中国の夢」は存外に「捧殺」に弱いのかもしれない。


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