Washington Files

2021年5月3日

»著者プロフィール
著者
閉じる

斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

軍事予算増額をアピールする“国防族”議員

 さらに見逃せないのは、「中国の脅威」や中国に対する偏見を煽ることで軍事予算増額をアピールする“国防族”議員たちの存在だ。

 そのうちの一人で、軍事産業から最も多額の政治献金を受けているロブ・ウィットマン下院議員(共和、バージニア)は最近、自らのツイートでトランプ氏同様に、コロナ禍の責任の大半を中国に押し付けると同時に「中国の最終目標はわがアメリカの完全粉砕complete destructionにある」と断じ、軍事予算カットを主張する民主党議員を批判した。

 軍事産業と太いパイプを持つ共和党議員はウイットマン議員以外にも少なくないだけに、今後、議会における“中国叩き”が増幅される可能性も否定できない。

 日米自動車摩擦が過熱していた1982年当時、デトロイト市内で中国系米国人ビンセント・チンさんが白人にバットで撲殺される事件があった。逮捕された犯人は「ジャップ憎さにやった」と自供したが、日本人と誤認して中国人が犠牲にされたとして地元紙などでも大きく報道されたことが思い出される。

 白人の目から見ると、アジア系住民は見分けもつけにくいだけに、“中国バッシング”がエスカレートするにつれ、日本人が中国人と誤認され犠牲になるといった悲劇が再発しない保証はない。全米在住の多くの日本人駐在員および家族にとっても、米中関係の悪化は、傍観者ではいられない切実な問題となりつつある。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る