奈良の春日大社に伝わる宝物には、平安時代の漆工芸品が数多く、国宝に指定されている逸品も少なくない。この秋、国宝の修理が一段落したことを機に、漆工芸の傑作を公開する特別展が開かれる。
国宝の修復を手掛けたのは、重要無形文化財保持者(人間国宝)で、春日大塗師職(おおぬししょく)として40年にわたり、春日大社の漆工芸作品の調査・修理や復元に取り組んできた北村昭斎(しょうさい)氏。展覧会では、いずれも国宝の「蒔絵箏(まきえのこと)」や「金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)」、重要文化財の「秋草蒔絵手箱」など、往時の漆工芸技術の最高峰となる作品を目の当たりにできる。
さらに北村家1代目の久斎(きゅうさい)氏から3代目の昭斎氏まで、北村家3代にわたる漆工芸の作品も展示。古来受け継がれてきた伝統の技を現代の作品に活かした、螺鈿や蒔絵のきらびやかな世界は圧巻だ。
なお、特別展に合わせ、11月25日には春日大社内感謝共生の館において北村昭斎氏による記念講演会「春日大社宝物の漆の技」を開催※。匠の技について知る、またとない機会となるはずだ。
※春日大社(下記電話番号)まで事前の申し込みが必要
平安の正倉院 春日大社の国宝と北村昭斎
<開催日>2012年10月27日~2013年1月14日
<会場>奈良市春日野町・春日大社宝物殿(奈良線奈良駅からバス)
<問>☎0742(22)7788
http://www.kasugataisha.or.jp/h_s_tearoom/treasure/
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