2022年7月1日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2021年6月1日

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樋泉克夫 (ひずみ・かつお)

愛知県立大学名誉教授

中央大学法学部、香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士後期課程を経て外務省専門調査員として在タイ日本国大使館勤務。著書に『華僑コネクション』『京劇と中国人』『華僑烈々―大中華圏を動かす覇者たち―』(以上、新潮社刊)など。

[著書]

民間企業経営の教育機関が大学、学院を名乗ることを禁じた

 5月18日、教育部・聯合公安部などの政府当局は「教育秩序の混乱につながり、好ましからぬ影響が生じる」との理由から、民間企業経営の教育機関が大学、あるいは学院を名乗ることを禁じた。かくて湖畔大学は浙江湖畔創業研究中心へと改名を余儀なくされ、「湖畔大学」の4文字は削り取られてしまったわけだ。

 じつは習近平政権は、民営教育機関に厳格な指導の全面的受け入れを求める「民弁教育促進法実施条例」の9月1日発効を期しているとか。民間企業が経営する教育・研究機関での自由な研究・技術開発は許されなくなる。

 共産党政権下では権力に「独占禁止法」は適用されない。それゆえに「支配的地位の濫用」は止みそうにない。湖畔大学を含む一連の厳しい措置を前に、馬雲は「すでに馬雲は終わった」と漏らしていると伝えられるが、馬雲と同じような心境に置かれている企業家は決して少なくないだろう。

 2021年の建党100周年をキッカケにして、これまで見たこともない中国が姿を現すのではないか。おそらくそれは毛沢東が掲げた「自力更生」「為人民服務」の中国とも、鄧小平が基本設計した社会主義市場経済の中国とも違った形になるだろう。であればこそ世界は、新たに出現するであろう中国という国の形を慎重に見極める必要があるはずだ。

 たとえアメリカを凌ぐ一強独裁のAI超大国になろうと、経済大国になろうと、あるいは中国包囲網の中で溶解に向かおうと、である。だが、その際に1972年のニクソン訪中が西側の中国警戒感を緩め、鄧小平による開放路線をもたらし、現在の中国につながったことを忘れるべきではない。

  
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