海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年6月10日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「ワクチン開発加速」は自分の手柄

 トランプ前大統領が演説した中で言及をしなかったことにも注目してみましょう。今年1月6日に発生した米連邦議会議事堂乱入事件について直接触れませんでした。トランプ支持者による民主主義に対する破壊行為だからです。ただ、トランプ氏は「私は民主主義を弱めることはしない。民主主義を救おうとしているのだ」と述べました。議事堂乱入事件を正当化したと解釈できます。

 演説の中でトランプ氏が力説した箇所がありました。「ワクチン開発を加速させたのは自分だ」というメッセージを繰り返し発信したときです。なぜ、ワクチン開発は自分のクレジット(手柄)だと強調したのでしょうか。

 バイデン大統領は7月4日の独立記念日までに、70%の成人が少なくとも1回目のワクチン接種を行うという野心的な数値目標を設定しました。米ABCニュース及びワシントン・ポスト紙は、ワクチンの接種者数が鈍化しているので、バイデン政権はこの目標を達成できないと報道しました。

 そうはいっても、63.5%の18歳以上の成人が少なくとも1回分の接種をしました(21年6月6日現在)。一方、接種完了者は52.8%です。65歳以上の高齢者に限れば、すでに86.3%が少なくとも1回目を接種し、75.5%が完了しました。

 「ワクチン接種加速」はバイデン大統領のクレジットであり、新型コロナウイルスが収束すれば成果になります。22年中間選挙と24年大統領選挙で、バイデン氏はワクチン接種の成果をアピールすることは間違いありません。トランプ氏はこの最悪のシナリオを是が非でも阻止したいのです。演説ではその思いが色濃く出ていました。

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