海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年5月11日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「ワクチン接種とトランプ支持者」です。トランプ支持者は、新型コロナウイルスのワクチン接種に対して拒否反応を示しています。実際、どの程度の支持者が接種を受けないと回答しているのでしょうか。また、その原因はどこにあるのでしょうか。ワクチン接種をすでに完了した共和党支持者は、接種を拒んでいるトランプ支持者をどのように捉えているのでしょうか。

 本稿では、世論調査結果及びヒアリング調査に基づいて上記の質問に答えます。

(Drazen Zigic/gettyimages)

ワクチン接種を拒むトランプ支持者

 米公共ラジオ(NPR)、公共テレビ(PBS)及びマリスト大学(東部ニューヨーク州)の共同世論調査(21年4月19~21日実施)によれば、ドランプ支持者の50%が「接種しない」と回答しました。支持者の中で「すでに接種した」と答えたのは36%、一方「これから接種する」は11%でした。

 新型コロナウイルス感染拡大直前の20年2月まで筆者はトランプ集会に参加していましたが、そこでガラガラ蛇の絵と「俺を踏むな」のメッセージが印刷された黄色の旗を持ったトランプ支持者を見かけました。「自由を踏みにじると噛みつくぞ」というメッセージです。

 彼らは10年米中間選挙で旋風を起こした保守系の市民運動「ティー・パーティー(茶会)」のメンバーです。21年1月6日に発生した米連邦議会議事堂乱入事件において、ティー・パーティーの活動家が極右グループと一緒に連邦議会を占拠しました。

 10年中間選挙で筆者は、東部ニューハンプシャー州在住のティー・パーティーの活動家を密着取材しました。この活動家の自宅に一泊し、他の活動家にも接触して現地ヒアリング調査を実施しました。

 取材をした活動家は、米国の文化的価値観である「個人の自由」の正真正銘の信奉者でした。文化的価値観とは、ある文化において「優先順位の高い価値観」ないし「支配的な価値観」を指します。

 当時、ティー・パーティーの活動家はオバマ政権から医療保険加入を強要されることに対して抵抗を示していました。彼らがバイデン政権主導のワクチン接種にも拒否反応を示すのは当然です。ワクチン接種をするか否かは、個人の自由だからです。

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