海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年5月13日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

(AP/AFLO)

 今回のテーマは、「トランプに賭ける共和党のリスク」です。ドナルド・トランプ前大統領の支持率が低下しています。にもかかわらず、共和党はトランプ前大統領と協力して、来年秋の中間選挙を戦う決意をしました。果たしてこの戦略は、効果を出すのでしょうか。本稿では、トランプ氏に賭ける共和党のリスクを分析します。

支持率32%

 共和党下院トップのケビン・マッカーシー院内総務は、今年1月6日に発生したトランプ支持者による米連邦議会議事堂乱入事件を非難しましたが、中間選挙に向けてトランプ大統領の力を借りることにしました。同党下院ナンバー2のスティーブ・スカリス院内幹事も南部フロリダ州に住居を移したトランプ氏を訪ね、協力関係を確認しました。

 ただ、トランプ前大統領の支持率は確実に下落しています。米NBCニュースの世論調査(21年4月17~20日実施)によれば、トランプ氏の支持率は32%で、不支持率が55%です。20年米大統領選挙投開票日の直前に行ったNBCニュースの調査(20年10月29~31日実施)では、トランプ氏の支持率は43%ありました。11ポイントも低下したことになります。

 しかも、NBCニュースが共和党支持者に「あなたはトランプ支持者ですか、それとも共和党支持者ですか」と尋ねたところ、44%が「トランプ支持者」、50%が「共和党支持者」、3%が「両方の支持者」、3%が「どちらでもない」と回答しました。共和党支持者がトランプ支持者を6ポイント上回ったのです。

 トランプ支持者が共和党支持者を下回るのは、19年7月以来です。ちなみに、同調査(同年10月29~31日実施)によると、54%が「トランプ支持者」、38%が「共和党支持者」、4%が「両方の支持者」、3%が「どちらでもない」と答えました。昨年の調査では16ポイントもトランプ支持者が共和党支持者をリードしていました。

 共和党は大統領選挙後も「トランプ党」であるという見方がありますが、「トランプ離れ」は確実に進んでいます。

 前述した通り、トランプ氏の支持率は下落傾向にあるのですが、共和党下院は同氏の資金力及び、熱狂的支持者の票に期待して協力する道を選択しました。従って、トランプ氏と支持者を激怒させることは、資金力と票の双方を失うことと同等です。

 一方共和党上院ですが、ミッチ・マコネル院内総務とトランプ前大統領の関係はギクシャクしており、蜜月とはほど遠い状況です。ただし、重鎮のリンゼー・グラム上院議員(南部サウスカロライナ州)は、「トランプがいないと共和党は成長しない」と述べて、トランプ氏との協力関係を強調しています。上院はマコネル院内総務とトランプ氏の関係修復が鍵を握ります。

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