「トランプ崇拝」の危険性
共和党下院ナンバー3のリズ・チェイニー下院議員(西部ワイオミング州)は、トランプ弾劾訴追決議に賛成票を投じた10人の下院議員のうち1人です。チェイニー氏は造反組の幹部として見られており、同氏とトランプ派の議員との関係は悪化しています。
その一例を挙げましょう。ジョー・バイデン大統領が4月28日に上下両院合同会議で施政方針演説を行いました。バイデン氏が会議場に入ったとき、通路側にいたチェイニー議員が挨拶をしました。党派を問わず、大統領に対して敬意を払うのは当然です。ところが、米ワシントン・ポスト紙によれば、それを見た共和党議員がチェイニー氏を咎めました。
チェイニー議員はブッシュ(子)政権のディック・チェイニー元副大統領の長女です。チェイニー氏は確かに議会共和党では少数派ですが、反トランプのブッシュ家及びマケイン家の思いを代弁しています。
5月6日の米ワシントン・ポスト紙(電子版)に寄稿したチェイニー氏は、「共和党は転換点にある」と指摘しました。そのうえで、「共和党は保守主義を代表し、危険で反民主主義のトランプに対する個人崇拝から離れる必要がある」と主張しました。共和党指導部は、カルトリーダーのようなトランプ氏に従っていると言いたいのです。
さらに、チェイニー議員はトランプ氏との協力は長期的に共和党と米国にダメージを与えるとも述べました。共和党が法の支配を放棄し、大統領選挙の合法的な結果を覆すことがないように、寄稿文で警告を発しました。
チェイニー氏は自身を民主主義の「擁護者」、トランプ氏を「破壊者」及び、「カルトリーダー」として描きました。