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2021年6月10日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

国産ワクチンの実用化時期

 関心が高い国産ワクチン実用化の時期については「まだ分からない。ワクチンの認可基準が明確でなかったので遅れた。WHO(世界保健機関)が近くどれくらいの規模の治験が必要なのか新しい指針を示すことになっており、それによって時期が違ってくる。もし東南アジアの数万人の大規模な治験が必要となれば、実用化の時期は遅れる」と説明した。

 開発しているDNAワクチンの効果に関しては「新型コロナウイルスが体内に入ってきてから出ないと効果が出ないワクチンなので、感染は防げないが、発症、重症化を防ぐことができる。効果に関しては、明確なデータはないが、ファイザー社のワクチンよりは低いが、アストラゼネカと中国製の間くらいに入るのではないか。効果を上げようとすると副反応が高まるリスクがあるので、安全安心を担保しながら効果を上げるようにしたい」と述べ、安全性にも配慮しながら開発を進めていることを明らかにした。

 また国産ワクチンの必要性について「海外のワクチンばかりに頼っていては、ローカルで局所的に変異株が流行した場合は、欧米の製薬メーカーもわざわざそのために対応はしてくれない恐れがあり、日本が『鎖国』状態になる可能性もある。こうした事態にしっかリ対応するためにも、国産ワクチンを実用化する必要がある」と指摘した。どういうワクチンを作るかに関しては「G7で対応を考えるなど、国際協調で取り組むことが重要である」と述べた。

 ワクチンは変異により感染力が高まるタイプがある。「オリジナル株から1.5倍感染力の高まったのが英国型で、英国型がさらに1.5倍感染力が強いのがインド型だ。このほか南アフリカ型があるが、英国型とインド型には既存のワクチンがそこそこ効くといわれている。一方、南アフリカ型は感染力は強くないが、既存のワクチンの効果が弱いといわれている。このため、ファイザー、モデルナ社は南アフリカ型に対応する新しいワクチンの臨床試験に入っている。変異株について今後は、どれだけ感染力があるかと、既存のワクチンがどれくらい効くかの、2つの観点から調べる必要がある」と指摘した。

 「我々の開発しているワクチンでも英国型では若干効果が落ちる。南アフリカ型にはかなり落ちることが分かっているので、再度作り直す必要があるので、DNA設計をやり直して、現在動物実験をしているところだ」と述べた。

 来年以降のワクチン接種については「当面は毎年、流行しているか、流行する可能性のある変異株に対応したワクチンを接種する必要がある。そうすることが経済を回していくという点でも有効だ」との見方を示した。

  
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