2022年12月7日(水)

使えない上司・使えない部下

2021年6月12日

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部下を変えるのではなく、自分が変わるしかない

小峰正仁さん

 「使えない」といった言葉で言えば、新卒採用の責任者をしていた時の経験を思い出します。ある部署の責任者が「今年入った新人の〇〇君は使えない」と内線電話をしてきたのです。私は「まだ入社数か月。仕事ができないのが当たり前。使えない、と言っているあなたが使えないのではないですか?」と言いました。本当に使えないならば、上司はあの手この手を使い、仕事ができるようにすべきでしょう。部下のせいにしている限り、進歩しません。「部下が使えない」と言う上司は「自分が使えない」と口にしているようなものです。

 長年、役員や管理職をしてきてつくづく思うのですが、部下を変えるのではなく、自分が変わるしかないのです。人間関係で片方が全面的に正しいなんてないでしょう。

 自分が使えた上司を「使える、使えない」とは見ませんが、強く印象に残る方はいます。その1人がメンバーズの創業者で、社長の剣持(けんもち)です。21年間、彼のもとで仕事ができました。一時期、上場が思い描いたようにいかずに苦しんだ時期がありましたが、総じて楽しい時代でした。

 経理も担当していたからわかるのですが、社長は会社のお金とプライベートマネーをきちんと区別しています。この区別ができないオーナー経営者は、特に中小企業に少なからずいるように思います。社長は、まだ規模が小さかった頃から常に厳格でした。当時から、この姿勢をすばらしいと思ってきました。だから、21年間、そばにいることができたのかもしれません。

 初期の頃、社員たちと1次会、2次会、3次会と盛り上がったようです。社長はそれらの領収書を秘書を通じて、私のもとへ送ってきました。「全社員が参加した1次会はともかく、2次会、3次会の参加は任意だったのですから、これらを経費として認めることはできません」と答えました。

 秘書から私の回答を聞いた社長は「なぜ、2次会、3次会はダメなの?」と尋ねてきます。「では、ほかの役員も同じようにしてよろしいのですね」と確認すると、「それはいけないよ」と納得してくれました。それ以降も、会社のお金の使い方は常に厳格。私は、そのあたりがとても好きです。社長がルーズになるとたぶん、みんながルーズになります。社員たちの、会社に対しての共感と理解度が減るのです。

 新卒採用を本格化させるために、全国の高専(高等専門学校)や大学などを回り、開拓をしてきました。3年後にエントリー者が増えて、優秀な人が入社してくれるようになったのです。毎年、内定辞退者はほとんどいません。入社後、早いうちに活躍もしています。そんな状況を社長が喜んでくれました。「当初は小峰さんの挑戦にまったく期待していなかったけれど、独自に勝手にやってくれて本当によかったですよ」。こんな言葉を言われた時、うれしかった。とても印象に残っています。

 社長も以前、話していました。「部下のことを”使えない”と言っている上司がいるならば、その上司が使えないのだ」。メンバーズやそのグループ会社では、社員間の足の引っ張り合いはほとんど聞きませんが、社長のこんな考えが浸透しているのかもしれませんね。私?おそらく、部下からは、面倒な上司と思われているのではないでしょうか。障がい者の社員からは、多少は信用してもらっているのかもしれませんが。これからも、障がい者雇用に力を注いでいきたいと思います。

株式会社メンバーズギフテッド 

  
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