使えない上司・使えない部下

2021年4月29日

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 今回は、三井住友海上あいおい生命保険の代理店コンタクトセンター部金融サポートグループのグループ長・笠原直子さんに取材を試みた。

 1993年3月、慶應義塾大学法学部を卒業、同年4月に住友海上火災保険に一般職として入社。損害サポート部門や企業営業部門に勤務。2001年に三井海上、住友海上が経営統合し、三井住友海上火災保険に社名変更。2013年、三井住友海上火災保険人事部企画チームに異動。2015年課長に昇格。

 人事部在籍7年のなかで、女性活躍推進(D&I)、関連事業会社管理、社員意識調査、人事制度改定、労働組合協議などを担当。2020年に三井住友海上あいおい生命保険に出向。現在、代理店コンタクトセンター部金融サポートグループ(32人)のグループ長を務める。

 笠原さんにとって「使えない上司、使えない部下」とは…。

(akinbostanci/gettyimages)

「自分は職場で必要とされている。使える人財なんだ」

 今はリーダーとして部下の自律を促しながら、支援をしています。自律と支援のバランスが難しいと感じます。こちらがよかれと思い、言ったとしても本人に思ったとおりには伝わっていないことがあります。裏目に出てしまい、反省したり、悩んだりすることもありました。そんな時にかつて仕えた上司から、「上手くいかないのが当たり前。私もいまだに上手くいかないけれど、がんばっている」とおっしゃっていただき、気持ちが少し楽になりました。

 相手のこれまでの経験や得ている情報、前提、解釈、大切にしている価値観は違います。心身の健康状態や感情が影響する場合もあります。それならば「上手くいかなくて当たり前」を出発点にして、上手くいくためにはどうすればいいのかと考えるようにしています。

 職場にはチームリーダーが5人程いて、私からリーダーへ、リーダーからチームメンバーに指示を伝えることが多いので、特にリーダーとはこまめにコミュニケーションを図ります。リーダーとの関係が上手くいっていると、職場がスムーズに動くので、些細なこともよく話し合うようにしています。その繰り返しが大切だと思っています。

 部下からは、「この職場では自分の判断で仕事をさせてくれる」と言われたことがあります。マネジメントをするうえで、自主性を重んじるように心がけています。私ひとりで考えたり、できることには限界があります。現場に近い社員がリーダーと相談しながら、状況に応じて判断し、動いてくれる方がよい結果につながりやすいと思っています。

 一人ひとりの社員が「自分は職場で必要とされている。使える人財なんだ」と感じてもらえたらうれしいですね。「部下の強みを引き出し、サポートをしていきたい。」そのような思いもあり、キャリアコンサルタントの資格を取りました。一緒にそれぞれの社員のキャリアについて考えていくことができればと思っています。

自らが会社や職場にどのように役立っていくか、と考えるきっかけ

 今、自分が管理職として振り返ると、上司だった方全員が仕事のできる方だったのだと思います。特に印象に残る上司が2人います。1人は20代後半に営業部門にいた頃に仕えた40代の課長。観察力が鋭く、仕事には厳しく、既成概念に囚われずに、社内外のリソースを統合して新規ビジネスをいくつも立ち上げていました。その職場は忙しく、緊張感がありましたが、メンバーとして係れることにやりがいも感じていました。

 課長は部下である私たち(男性3人、女性2人)とお酒を飲む時に、自分を父親に、先輩の女性を長女、男性の社員たちを長男、次男、私を次女というように家族に見立てて仕事中の出来事を話していました。このような場も含めて、部下たちは各々の個性やチームで仕事をするうえでの立場や役割を心得ることができていたように思います。課長はその後、昇格し、役員になられました。

 もう1人の上司は、30代の頃、営業部門にいた時の部長です。仕事の要諦を教えてくれますが、実際どのように進めればよいかと尋ねると、「自分で考えるように」「自分でやるように」と言われました。突き放された気がしましたが、今思えば常に部下を見て、真摯に向き合ってくださる方でした。自律と支援のバランスが図られていたおかげで、仕事に対して当事者意識を持つことができたと思います。この方もその後、役員になられました。

 今思えば、男性とは働き方、意識どれをとっても異なっていました。そもそも、一般職として入社したので総合職である男性社員と同じ土俵には立っていなかったように思います。仕事の内容や責任も大きく違っていました。

 総合職に転換する制度はありましたが、一般職として働くことで満足していました。私の周りはとても優秀な男性社員が多く、忙しそうでもありました。私は、生活にゆとりを持っていたいと思っていたので、総合職になり、男性に対抗するような考えはまったくありませんでした。

 慶應義塾大学法学部卒で、一般職はもったいない? いいえ、そのように感じたことはありません。当時、女子学生は一般職を選ぶケースが多かったように思います。総合職での就職に関しては、男子学生に比べるとハンディを感じました。例えば、慶應卒のリクルーターは男子学生にはアプローチしているようでした。女子学生へは少なく、女性向けの求人は一般職が多かったように記憶しています。

 それでも、「差別を受けている」とは感じませんでした。サラリーマンの父と専業主婦の母のもとで生まれ育ったこともあり、女性が結婚したら退職することにも違和感はありませんでした。

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