イラン核関連施設にドローン攻撃
こうした中でテヘラン郊外カラジにある遠心分離機製造工場が23日、小型のドローン(無人機)攻撃を受けるという事件が発生した。イラン原子力庁や地元のメディアなどによると、攻撃を受けたのは、中部ナタンズなどイランの主要な核施設で使う最新式の遠心分離機を製造している工場だ。
被害はなかったとされるが、焦点は攻撃を仕掛けたのは誰かということだ。無人機は工場に近いイラン国内から発進したと見られ、レバノンのベイルートで19年、イラン支援の武装組織ヒズボラ攻撃に使われたものと似ているという。攻撃を受けた工場はイスラエルがトランプ前米政権に提示した攻撃対象リストに含まれていた。
こうした点から今回の攻撃はイスラエルが実行したとの見方が有力だが、イスラエルのイラン核開発に対する焦燥感は深い。特にバイデン政権が核合意への復帰交渉を推進していることに懸念を強めている。6月に就任したばかりの極右のベネット首相もネタニヤフ前政権同様、イランへの敵視姿勢は変わっていない。イランの核施設には昨年夏からイスラエルによると見られる破壊工作が続いており、核交渉が進むにつれ緊張した状況が続くことになるだろう。
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