2022年12月5日(月)

ベストセラーで読むアメリカ

2021年6月29日

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どのようなシナリオなのか?

 さて、ここからは本書のストーリー展開について触れざるをえない。いわゆるネタバレ注意であることをお断りしておく。

 南シナ海で中国の原子力空母が、アメリカ軍の駆逐艦2隻を沈める。中国軍はサイバー攻撃で米軍の通信網を遮断する。米軍の2つの空母戦闘群が駆けつけるものの、米軍は40隻近い軍艦を撃沈され数千人の犠牲を出す。中国は同時に同盟国のイランと協力し、中東のホルムズ海峡近くを飛行中だった米軍のステルス戦闘機F35の運航システムをハッキングし、戦闘機をイランの軍事基地に強制着陸させる。中国はサイバー攻撃でもアメリカ軍をはるかに上回る技術力を誇示する。中国人民解放軍は台湾に侵攻し制圧する。第三次世界大戦の始まりであり南シナ海では中国の圧勝となった。

 米中が争っているすきを利用して、ロシアは米国につながるインターネットの海底ケーブルを破壊する軍事行動を始める。弱体化したNATO軍をしり目にポーランド領へ侵攻する。アメリカ本土ではネット回線の多くが遮断されて大規模な停電も発生、中国軍によるサイバー攻撃も重なり、ホワイトハウスは混乱に陥る。時のアメリカの大統領は女性で、強いアメリカを誇示するため中国本土への核攻撃を命じる。これまた女性が指揮をとる航空母艦が広東省の港湾都市である湛江市に原爆を落とす。

 中国は報復のためすかさず艦隊をアメリカ西海岸の海域に派遣し、カリフォルニア州サンディエゴと、テキサス州ガルベストンの2つの都市を核攻撃する。アメリカはこれに対し、再び中国へ核兵器で報復する作戦に着手する。先に湛江市を核兵器で廃墟にした女性指揮官のもとへ新たな攻撃目標が届く。

Then at her desk she unfolded the orders, which totaled three pages, one for each of the targets, coastal cities that read from south to north: Xiamen (population: 7.1 million), Fuzhou (population: 7.8 million), and, lastly, Shanghai (population: 33.24 million).

「そして、女性指揮官は机の上で、指令書を開いた。3ページあり、1ページごとに1つずつ攻撃目標が記されていた。中国の沿岸部の都市が南から北の順で書かれていた。厦門市(人口710万人)、福州市(人口780万人)、そして最後に上海(人口3324万人)だった」

 米中の間で核兵器による報復がエスカレートするなか仲裁役として現れたのがインドだった。インドも独自のサイバー軍事力を持ち、アメリカと中国の動きを把握していた。まず、中国の空母を撃沈して、アメリカに対してこれ以上の軍事行動をやめるよう警告する。インドからの介入によりホワイトハウスは中国の3つの都市への核攻撃を取りやめることを決定する。

 しかし、核兵器を搭載した戦闘機はすでにアメリカ海軍の空母を飛び立った後だった。通信網が遮断されており攻撃中止の指令がパイロットたちには届かない。インド空軍がなんとか2機を撃墜するものの、1機だけはインド軍や中国軍による迎撃をかいくぐりカミカゼ特攻を敢行し上海は核兵器のおかげで廃墟になる。

Tragically, a single pilot from that squadron managed to slip both the Indian interceptors and Chinese air defenses, dropping his payload on Shanghai. These many months later the city remained a charred, radioactive wasteland. The death toll had exceeded thirty million.

「不幸にして、その飛行中隊のなかでひとりのパイロットが、インド軍の迎撃機と中国の防空網をすり抜け、上海に原爆を投下した。何カ月たっても、上海は黒焦げで、放射能に汚染された廃墟のままだった。死者の数は3000万人を超えた」

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