Washington Files

2021年7月2日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

会社ぐるみで丸ごと起訴対象

 さらに今回の動きで異例なのは、ウイーゼルバーグ氏個人のみならず、組織として会社ぐるみで丸ごと起訴対象とされたことだ。

 これは今後、ふたつの点でトランプ氏本人にとって、大きな不安要因になりうる。

 ひとつは、トランプ一族による多岐にわたる事業展開の総本山としての「トランプ・オーガニゼーション」が前代未聞の「起訴」という不名誉な刑事処分対象とされた結果、銀行、カジノなどのレジャー施設、投資会社など様々な分野のクライアントとの従来通りの活動に大きな支障を来しかねないことだ。

 そしてもう一点は、会社全体が起訴されたことにより、これまで厚い秘密のベールに包まれてきた組織について、地検による全容解明に拍車がかかるとみられる点だ。その結果次第では、捜査の手がいよいよ、組織の最高責任者であるトランプ氏にも及ぶことも否定できない。

 「トランプ・オーガニゼーション」は1923年、トランプ氏の父方の祖母エリザベス・クライスト・トランプ女史と父親フレッド・トランプ氏の手で小規模な不動産取引会社として設立されて以来、不動産開発、投資、財産管理、ホテル買収・経営、カジノ経営、マンション・タワー建設・販売、ゴルフ場経営などにも次々に手を広げ、今日では大小合わせ250近くの事業体をまとめる大組織にまで発展してきた。

 しかし、完全なファミリー・ビジネスであるだけに、税務内容も含めその経営実態は多くの謎に包まれたままとなっている。

 最終的に、トランプ氏本人の刑事訴追にまで発展するかどうかは不明だが、今回の起訴により、トランプ一族に大きな打撃となったことは間違いない。

  
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