2024年7月16日(火)

WEDGE REPORT

2021年7月12日

さらに大化けする

 澤村の強気な性格は明らかにメジャーリーグに向いている。もともと能力はケタ違いに優れたモノを持っており、その潜在能力を発揮できる球団であれば「さらに大化けする」と球界関係者の間でももっぱらだった。しかも窮屈なところにずっと閉じこもってしまうよりも思い切って環境を激変させ、殻をぶち破ったほうが絶対にうまくいくことはロッテへの移籍成功によって証明された。

 ロッテとのトレードにゴーサインを出した巨人の全権指揮官・原辰徳監督もおそらく澤村が、そういうタイプのプレーヤーであることを分かっていたからこそ〝商談〟をOKしたのだろう。澤村が将来的にMLB移籍を希望していることも当然知っていたはずで後々に海外FA権を行使してストレートに退団されるよりも必要とされている球団へトレードで送り出し、その見返りとしてロッテ側から交換要員の香月一也内野手をもらうほうが明らかに得策だ。ある意味で、これはFA直前の選手をトレードによって放出する「MLB方式」に近い。

 いずれにせよ澤村は原監督の〝親心〟によって巨人から解き放たれ、ロッテを経て今度はMLBのマウンドにおいて未体験ゾーンの世界に踏み込みながら環境が再びガラリと変わった今を存分に堪能している。憧れていた最高峰の檜舞台でボストンのファンの歓声を浴びながら、野球を楽しんでいるのだ。それを分かっているからこそレッドソックスとしても日本人鉄腕リリーバーに対し、メジャー1年目のさらなるブレイキングを確信しつつ大きな期待も抱かずにはいられないのであろう。

 レッドソックスは現在MLB全30球団中、最高勝率をマークしながらア・リーグ東地区首位の座をキープ。今のところシャンパンファイトに最も近いチームで澤村が快投を続ければ、自身の価値も青天井の勢いで高騰する。今後の飛躍が実に楽しみだ。

  
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