2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2012年11月14日

 第2回で、筧はミムラに正体を明かして、婚約を破棄された彼女に恋愛のてほどきをはじめる。ネット上に勝手にミムラのホームページを立ち上げて、交際相手を募集してしまう。タイトルの「八股をかけろ!!」のように、8人の男性との交際が始まる。

 ミムラが気に入ったのは、うさぎ好きの公務員の吉田純一(中村靖日)であった。交際は順調に進んでいたかにみえたが、ミムラが八股をかけていたことを知って、中村は怒り、キャンプ中にチェーンソーを持ってミムラを追う。

 「もてて大変だね」と携帯電話でからかう筧。その彼も、自分の個人情報が洩れて、仕事ができなくなり、ついに辞表を提出する。

シリアスな芝居よりも、喜劇を演じるのが難しい

 筧とミムラは、いまのところネット上のつながりだけにすぎない。演出は画面にふたりを登場させて、あたかも同じ場所で話し合っているかのように、ドラマを展開する。

 ネット社会の現実をとらえた、ある種の社会批評のぴりっとした隠し味のうまみもある。

 シリアスな芝居よりも、喜劇を演じるのが難しい。逆に深刻な劇だからこそ、コメディアンとコメディアンヌのようなちょっとほろ苦い味わいが必要なのである。

 コメディアンはあなどれない。渥美清を持ち出すまでもないだろう。

 寅さんだけが、彼の代表作ではない。山田洋次監督の「家族」など一連のシリアスドラマでは脇役ながらも「山田組」には欠かせない。

 コメディアンは、シリアスな芝居もできる。シリアスな演技者がコメディアンをできるわけではない。

 ミムラのコメディアンヌ誕生をよろこぶ。(敬称略)

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